公開講座
以下は講演の内容です。
講師は当クラブ会員の「岡かおる」さん。岡さんには研修会での植物観察案内でもお世話になっております。また野鳥の会、森林インストラクタ-、自然保護活動など幅広く活動されておられます。記憶に新しいところでは2022年5月に「風呂敷の中の自然観察」と題して楽しく役に立つ風呂敷の利用方法などのお話をしていただきました。
そして今回のテーマは「はっぱとイモムシ」です。ご承知の通り昨年9月に京都府立植物園のワイルドガ-デンに食草園エリアが設けられました。研修会でも何度か観察も致しましたイモムシにはびっくりもしますが楽しくもなります。サブタイトルを~京都府立植物園で見た生きもののつながり~とし、岡さんのイモムシ愛を感じるお話をお聞きしました。
標本の種類には乾燥標本(剥製、押し葉、石ころ、骨格、昆虫、剥製など)や液浸標本などがあります。保存方法は食品と同じで、腐らせない、カビを生えさせない、虫に食われないことです。植物標本は、新聞紙にはさみ、布団乾燥機などで乾燥させるというやり方を現在も続けているとのことです。
以下は標本の利用例です。標本に名前を付けるには基準となる「タイプ(模式)標本」が必要です。タイプ標本がないのは個性がバラバラの人間だけ。ヤマトグサは日本人(牧野富太郎)が初めて命名したタイプ標本です。標本からはその生き物が生きていた時と場所が分かり、自然環境が失われる前の標本があれば再生は可能です。
また、過去の標本があれば分類の見直し(カワムツの細分化の例)が可能で、外来種と在来種の増減の状況(オンブバッタの例)や生き物体内のマイクロプラスチックや農薬の分析をすれば環境の変化が分かります。私が興味を持ったのは、多くの渡り鳥の標本を解剖すると、渡りの途中で器官(胃腸、筋肉)のサイズを変えるという事例です。これは、各地での標本の比較から分かった事です。また、あくあぴあ芥川では魚類標本から芥川に生息する魚類相がまとまったとのことです。
標本で重要なのは、いつ、だれが、どこで採集したのかといった採集情報です。これがないと単なるモノです。自然史標本は①過去、現在、未来を繋ぐタイムカプセル、②その生き物の情報が後になっても得られる、③その生き物のいた時間、場所の環境が分かる、④生物多様性を維持するための研究に必要です。
次は日本の博物館事情について。博物館の父は東京博物館や上野動物園の設立に尽力した田中芳男氏。育ての親は初代東京博物館長で博物館事業の発展と普及に尽力した棚橋源太郎氏。全国には博物館が約5400館ありますが、うち4000館は学芸員が1~3人と小規模。そこで小規模ミュージアムネットワークを2010年に発足させて小規模な博物館同士が連携する仕組みを作りました。高田先生は、小規模博物館の連携で、博物館全体の底上げに貢献したことで2023年度文化庁長官賞を受賞されました。最後に先生より、博物館資料は人類の財産だが、日本の博物館は予算、人材、収蔵スペースのすべてにおいて不足している。展示を見に行くだけではなくもっと利用して欲しい。国民が「博物館は大事」と思うことが予算増につながる、と締めくくられました。
久しぶり開催の2月公開講座はシニア自然大学「自然に親しむ講座」他で大変お世話になっております、京都府立植物園名誉園長の松谷茂先生に講演をお願いいたしました。講演のテ-マは「紫式部の見た植物・源氏物語からさぐる」とし、今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」のヒロイン紫式部の見た植物を興味深くお話しいただきました。本日の参加者は小雨の天候にもかかわらず会員47名と一般参加者7名の計54名多数の参加となりました。
講演の冒頭は先生の自己紹介から、今年創立100年を迎える「京都府立植物園」で当時栽培担当課長として勤務を始められた時の話。一時期、入園者が半減し植物園廃止の危機もあったが植物の見せ方の工夫、本物の植物で勝負して入場者を増やされたとの事です。
源氏物語には約110種(草本類60種類、木竹類50種類)の植物が登場する。それも今から1000年以上も前に一人の女流作家が、文学作品にこれほど多くの植物を登場させたのは驚くばかりで紫式部の感性の豊かさや鋭い観察眼に圧倒されるとお話された。
パワーポイントの表紙は中央下がヤマザクラ、左周りでフタバアオイ、タチバナ、ベニバナ、ムラサキ、オニグルミであり、それぞれ源氏物語の要所に登場する植物である。尚登場回数の多い植物はマツ、モミジが約60回、サクラが約50回で他にはウメ、フジ、ヤマブキ、ナデシコ、キク、ハス、オミナエシなど。
そして第1帖から順次説明を受ける。
・第1帖は桐壷で植物は(キリ)
紫のゆかりのスタ-トで紫はフジと共に高貴な色。葉身の基 部はハ-ト
形、葉柄はマカロニ状、葉身の付け根は詰まっている。
・第2帖は箒木で植物は(ホウキギ)
信濃国の伏屋にあった木。梢はホウキのよう。遠くから眺めると見え近づく
と見えなくなる。ヒノキの説もあるが先生は実はエノキ?
・第3帖は空蝉で植物が登場しないことはない(アイ)が登場・着物の色合い。
・第4帖は夕顔で植物は(ユウガオ)
「心あてに それかとぞ見る白露の ひかりそへたる 夕顔の花」と読まれて
いる。夏の夕方に咲き、翌朝にはしぼむ。
・第5帖は若紫で植物は(ムラサキ)
白い花、若紫は源氏が思いを寄せる藤壺の姪。ムラサキの根は高貴な色
「紫」の染料。
・第6帖は末摘花で植物は(ベニバナ)
花茎の先端(末)にある花を摘むから末摘花。花の色は黄色から紅色。
・第7帖は紅葉賀で植物は(モミジ)
頭の中将を相手に「舞楽」の青海波を舞う。源氏挿頭の紅葉が散り、頭中将
が菊に差し換えた。
・第8帖は花宴で植物は(ヤマザクラ)
2月20日過ぎ、紫宸殿で桜の花の宴。3月20日過ぎ藤の花の宴で朧月夜
と再会。山桜は関西人好み、染井吉野ばかりが桜ではない!!
・第33帖は藤裏葉で植物は(フジ)
藤は多くの場面に登場。松に巻き付く藤は上から下に向かって紫色の花が
咲く、下にいる人が上にある紫の花を見上げて愛でる尊い。
・第9帖は葵で植物は(フタバアオイ)
下向きに楚々と咲く花は全く目立たないが可愛い。祭りと言えば「賀茂祭」、
「逢う日」に掛ける「葵」。
・第10帖は賢木で植物は(サカキ)
常緑樹、美しい樹姿。栄える木→さかき→榊。境の木→神域と人間域源氏
が差し入れたサカキの葉には香りはあるか?
・第11帖は花散里で植物は(カツラ)
ふつう秋の黄葉時の甘い香り。がしかし登場の季節は春~初夏。
・第12帖は須磨で植物は(シノブ)
須磨のわびしい住まいで便りを交わし、絵を描いて寂しい日々を送る。紫
式部はシノブを見たのかノキシノブを見たのか?
・第18帖は松風で植物は(マツ)
物語では多くの帖、場面で登場。源氏が見た松は須磨、明石では黒松か。
大揠川の山里では赤松か?

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