午前10時、叡山電鉄「一乗寺駅」に、会員40名、一般参加者3名の計43名が集合しました。今回は事前申込制にて参加者を募り、多くの方にご参加いただきました。澄み渡る秋空のもと、担当幹事である永井副会長の挨拶により例会が始まりました。道案内は私・岸本が担当し、ポイント解説用の資料も用意しました。

叡山電鉄は今年、開業100周年を迎えます。「きらら」や「ひえい」に加え、「舞」という名の新たな観光列車も登場予定です。また、一乗寺駅の西側、東大路通を中心とした駅周辺は、通称「一乗寺ラーメン街道」と呼ばれ、全国からラーメンファンが集う激戦区。個性豊かなラーメン店が20軒以上集まって、ラーメン好きの聖地となっています。
 駅前から東へ進み、白川通を越えると、住宅街の中に「一乗寺下り松」があります。ここは江戸時代初期の剣豪・宮本武蔵が、吉岡一門と決闘を行ったとされる場所です。現在の松は当時の木を模して植えられたもので、周囲には石碑や案内板が整備されており、武蔵の足跡を辿ることができます。
 さらに住宅街を進むと、緑に包まれた門が迎えてくれる「詩仙堂 丈山寺」に到着しました。詩仙堂は、江戸時代初期の文人・石川丈山が隠棲の地として築いた山荘で、現在は曹洞宗の寺院として親しまれています。堂内には中国の詩人三十六人の肖像を掲げた「詩仙の間」がありこれが、「詩仙堂」の名の由来です。
 この日は2班に分かれ、交代で庭園を鑑賞しました。庭は中国の山水画を模した唐様庭園で、庭を降りていくと、竹筒が石に当たる「カコン」という音が響きます。これは鹿威し(ししおどし)と呼ばれる仕掛けで、かつては獣除けとして使われていたもの。丈山が考案し庭に設置したとされ、日本庭園の静けさに趣を添える風流な存在です。
 庭では夕方に花の色が赤く変化するスイフヨウや、秋の七草のひとつであるフジバカマが見頃を迎えていました。秋の七草は薬草としても知られ、特にクズの根は「葛根(かっこん)」という生薬名で「葛根湯」に用いられることで有名です。

251008-1

詩仙堂を後にし、「八大神社」に立ち寄りました。ここは、宮本武蔵が決闘の前に立ち寄ったと伝えられることで知られています。境内には武蔵の像が立ち、社殿は静かな佇まいで、周囲の緑と調和し、心を落ち着かせてくれる空間です。その後、圓光寺門前を通過し、山沿いの道を上って曼殊院天満宮の付近で持参した弁当で昼食をとりました。

昼食後は、「武田薬品京都薬用植物園」を見学しました。今回は団体での申し込みにより、職員の方3名にご案内いただきました。植物園は94,000m2もの広大な敷地に約1,900種の薬用植物が栽培・研究されており、漢方や民間薬に使われる植物のほか、世界各地の薬草やハーブが整然と植えられています。
 この日は、展示棟、香辛料園、中央標本園、民間薬園、漢方処方園を中心に見学しました。園内では職員の方が「匂ってみては」「味わってみては」と声をかけてくださり、苦味のあとは甘味を感じるなど、一般の植物園とは一味違う体験ができました。また、口にしてはいけない毒草についても丁寧に教えていただきました。
 漢方処方園では代表的な漢方処方(例:大建中湯)の構成生薬(山椒、乾姜など)を、対応する薬用植物(サンショウ、ショウガなど)で分かりやすく展示しており、理解が深まる工夫がされていました。

251008-2
(写真はクリックで大きく表示されます)

見学中は「へぇ~」「はぁ~」といった感心や驚きの声が絶えず、あっという間の2時間でした。園内には温室やツバキ園など、他にも見どころがありましたが、短時間ではすべてを回りきれません。ご案内くださった坪田さん、小島さん、安藤さん、懇切丁寧なご説明をありがとうございました。

見学終了後は記念撮影を行い、解散となりました。曼殊院へ向かう方々と別れ、坂道を下って鷺森神社に立ち寄り、午後4時頃に「修学院駅」に到着しました。 (文/岸本)