今年一番の暑さの週になるという時期の開催になりました。参加者29名、うち実習生6名。講師は大川内さんと高橋さん。私は大川内さんのグループに参加しました。暑い時なのでいつもより30分早い12時に終了しましょうとの提案で、移動はやや急ぎ足になりました。

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 いつものワイルドガーデンは素早く通り抜けて森へ向かいます。風の温度が変わりました。トウサイカチ。フジの豆果に似た実をつけています。低い枝に付いているトゲは生薬になるとのこと。自分の身を守るものが薬になるとの話に納得。その先にコクサギ。コクサギ型葉序で、すっと通り過ぎてしまいがちですが葉の油点や種の実物を見せてもらい、この先の変化を見ていきたいと思いました。また世界三大美芽の一つだという話も聞き、冬にも注目したい植物です。そこから足早に針葉樹林の中へ進みます。お目当てはメガネツユクサ。メガネツユクサって何?青いレンズに薄い水色のメガネ枠のような花。本当にその名の通りでした。そばにはツユクサも咲いていました。
 次は四季彩の丘のパーゴラへ。つる植物で日差しは避けられています。そこでハスの説明を聞きます。「ハスの生長」と「ハスの花の4日間」。そして當麻寺の蓮糸で織られた曼荼羅華の話も聞いて実際のハスを見に行きます。雌しべの先が黄から黒に変わっていく様子などを確かめます。パーゴラに戻ります。カラスウリの花に似たヘビウリの白いレース状の小さな花、長い緑白色の実は本当に蛇がぶら下がっているようです。そこから出ると外にはアオバナ(正式名オオボウシバナ)。友禅染の下書きに使う青花汁を作るための作物です。隣にはハブソウエビスグサ。黄色い花が目につきます。どちらも種子を炒ったものがお茶になります。

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 なからぎの森を抜け、青もみじに囲まれた池のまわりを通り生態園へ。ウワバミソウ(イラクサ科)。ミズと呼ばれる山菜でふきに似た食感で美味しいそうです。カラムシ(イラクサ科)。縄文時代、これから繊維を採って着るものを作っていたそうで、実際に取り出した繊維を見せてもらいました。少しごわっとしています。次はオニグルミ。源氏物語の13帖で光源氏が明石の君に手紙を出しますが、この紙はオニグルミで染められていたとの話。植物から色々な分野に話は広がります。フシグロセンノウヤマガシュウ他。
 次はユリの話。この観察会に参加された方は次の三つの話は覚えて帰りましょうと大川内さんが教えて下さったのは
 ① 明治時代、日本の貿易輸出品の1位は生糸、2位がお茶、3位はユリの球根。
 ② シーボルトによってヨーロッパに紹介された日本のユリは人気が高く、ヤマユリなどから多くのユリが交配された。
 ③ ムカゴができるのはオニユリだけ。

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 カリガネソウを見て、集合場所のノニレの大木の元へ急ぎました。実物の花を見るだけでなく講師の方の話を聞くことで、他の季節の様子やその植物と共にある文化を知ることができました。暑さに負けず参加された皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしました。   (文/海老原)