JR高槻から市営バスで20分ほど、上ノ口で降り、老人ホームを左に見ながら下って行った。摂津峡の石標を左折すると5分ほどで三好山入り口の標識。細い山道になるので前日の雨が心配で、足元に注意しながら歩いた。芥川の流れを右下に感じながら、山裾に作られた細いがけ道を上って行く
 15分歩くと城山城跡の石柱。野ブドウやムラサキシキブを見ながら、見晴らしの良い所へ。木株の椅子が4~5個置かれている。高槻市内が一望され、遠くにあべのハルカスが見える。すぐ近くに「三好山へ6分」の木札。10分で山頂へ。三好長慶の芥川山城跡と書かれた大看板があった。
 三好長慶は阿波・徳島から摂津に進出、主君・細川晴元に替わって1553年入城し、7年間座城したとある。足利将軍家を擁立せず、畿内一円11か国を支配、「芥川政権」を樹立した。織田信長に先駆けた天下人と称される所以である。標高182・7メートルの山上に本丸・出丸・田の丸など、鉄砲が普及する前の戦国の山城を偲びながら城跡を後にした。
 来た道を戻り、竹林を越えて塚脇・上ノ口への下り道を案内する標識に従って降りる。5~6分ほどで視界が広がる。黄金の里ホームから妙力寺前を通り、千念院を過ぎて川に出る。渡って右へ進むと前方にアクアピア芥川が見える。15分ほどで着き昼食。バスと川沿いを歩く2班に分かれ、JTへ向かう。

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 JTは文字通り日本たばこ産業。生命誌研究館と銘打ってるだけに、生きること、生命に関わることを扱っているのか。楽しみに訪ねた。JR高槻から歩いて10分。案内された部屋で各階ごとの説明を受け、3班に分けて案内された。一階のセンターに階段があり、最初の一言が「階段の一段が一億年です」。38億年の生命の歴史があるので、階段が38段かと思いきや、そこまで長くない。12~13段であった。ご愛嬌である。固いと思いがちだが意外と人は柔らかい。
 1階の展示ホールは地球上の生きものが、個体が生まれる発生について語り、細胞のゲノムDNAを受け継ぐ仲間であることを見せてくれる。実物の骨格標本を見ながら形の意味と面白さが実感できる。木の枝に擬態するナナフシや肺魚などの実物も展示されており、興味深い。「生きている」を見つめ「生きる」とは何かを考えるゲーム展を見てついつい自分の生き様を考えてしまう。地球の誕生は46億年前と言われるが、その6億年後に生命の出現があり、500万年前の人類誕生までに長い長い道のりがあった。
 2階のギャラリーでは、「エルマー・バイオヒストリ-の冒険」展や「生きもの上陸大作戦」展が展示されている。地球上の動物に驚きながら、その生態が楽しめる。3階は実験室が中心で非公開。毎月第3土曜日、生命誌の日に催しを開催している。

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 4階の屋上にチョウのレストラン「食草園」が設けられている。コンクリートで囲まれた小さな庭に虫や鳥が訪れ、春夏秋冬を通じて四季折々の変化が見られる。蝶の幼虫が食べる植物は種ごとに決まっていて、この食草園にはさまざまな食草が植えられている。ミカンにナミアゲハ、レモンにクロアゲハ、クスノキにアオスジアゲハ、ブロッコリー・ハボタンにモンシロチョウなど24種類の食草とチョウの関係が分かる。初めて見る実景であり、おもしろい所であった。   (文/吉田)