京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2025年11月

例会 10月29日(水)「富雄丸山古墳から西ノ京を巡る」の報告

 集合は近鉄学園前駅南口に午前10時10分。参加者は32名(うち一般参加4名)でした。天気は予報どおり快晴で、秋の爽やかな一日となりました。
 学園前からバスに乗り約15分、若山台中央で下車。バス停近くの丸山古墳広場で、まず赤對さんより概要説明があり、続いて本日の案内役の山下さんから全体のコース説明と富雄丸山古墳の詳細説明がありました。
〈コース〉
富雄丸山古墳 → 道の駅「クロスウエイなかまち」(昼食) → 赤膚焼窯元 → 大池(薬師寺展望) → 近鉄西ノ京駅(解散) → 希望者のみ薬師寺見学
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富雄丸山古墳の説明
 近年の調査により、世界的にも注目される古墳であることが明らかになりました。築造は4世紀後半とされ、文献資料の少ない「空白の時代」にあたります。被葬者は当時の有力豪族と考えられていますが、特定はされていません。
① 日本最大の円墳
 古墳にはさまざまな形がありますが、最も多いのは円墳です。富雄丸山古墳は2007年の航空レーザー測量(第一次調査)と2008年からの発掘(第二次調査)により、直径109mであることが確認され、埼玉県・丸墓山古墳(105m)を超える日本最大の円墳と判明しました。
② 世界最大級の「蛇行剣」が出土
 2022年(第5次調査)で木棺を覆う粘土層から、鉄製の巨大な剣が出土しました。通常の剣と異なり、蛇のように曲がりくねった形状をしており「蛇行剣」と呼ばれます。全長237cmと、世界的にも最大級の鉄剣です。
③ 「だ龍文盾形銅鏡」が出土
 蛇行剣と重なるように出土した鏡で、盾の形をしているのが特徴。鏡面は滑らかに磨かれ、裏面にはワニに似た龍(だ龍)や太陽を思わせる文様が刻まれています。長さ64cm、幅31cmで、鏡の面積としては日本最大級です。
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赤膚焼(あかはだやき)窯元見学
 古くからこの地の陶土はわずかに赤みを帯びており、その色合いから「赤い肌=赤膚」と呼ばれるようになったと伝えられています。赤膚焼は奈良の伝統陶芸で、室町時代末期〜江戸初期に発展しました。柔らかい乳白色または赤みを帯びた生成り色の地肌に、鹿・松・童子などを描く「奈良絵」が代表的です。
大池からの薬師寺展望
 大池に向かう途中では、平城京の古地図を現在の道と照らし合わせながら歩き、当時の都の広がりを実感しました。大池では薬師寺の美しい姿を望みながら撮影を楽しみました。
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(写真はクリックで大きく表示されます)
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おわりに
 事前準備資料や当日の丁寧なご説明をいただいた山下様、そして企画・運営にご尽力くださった赤對様に深く感謝申し上げます。秋晴れの中、歴史と文化に触れた充実した一日となりました。 (文/永井)

研修会 10月22日(水)「季節の植物観察/果実と工夫する種子散布」の報告

天候 : 曇りのち雨  案内 : 海老原、新堀  参加者: 会員15名、実習3名

10月半ば数少ないが秋に咲く花や猛暑に耐え抜いた木々が、それぞれの方法で種子散布をする様子を観察した。

・ベゴニア(シュウカイドウ科) 
 晩秋まで咲き花壇を彩るベゴニアは、一見オバナとメバナの見分けがつきにくい。なぜ似ているのか?メバナは蜜も無く花粉も出さない為、虫にとってメリットが無い。ゆえにメバナはメシベの先にオシベの黄色花粉に似たものを作り虫を誘う。皆さん熱心に見比べておられた。

・カンコノキ(トウダイグサ科)
 名前の由来は、1.葉が船底平らなカンコ舟に似ている。 2.果実の形が 唐菓子の「カンコ」に似ているとのこと。
 先月はクリーム色の小さなオバナが 咲いていたが今回はメバナばかり見つかり、小さなカボチャ形の果実がいくつか出来ていた。夜、花の匂いに誘われたハナホソガが 受粉を手伝い、受粉させたメバナに卵を産み幼虫が種子を半分食べ残す。カンコノキとハナホソガは、絶対的共生関係。

・ノブドウ(ブドウ科)
 青、紫、白色どの実が 甘い?種子が熟しているのは白い果実で甘い。

・ツリフネソウ(ツリフネソウ科) 
 果実の果皮が伸びて膨らんでいた。ツリフネソウが生息する水辺は 増水で流れる危険性あり。一年草ながら上流にも踏みとどまれるように出来るだけ 種子を遠くにはじけ飛ばす。

・サクラタデ(タデ科)
 ピンク色の花は 直径8ミリもあり、タデ科で最大。ピンク色は、花弁ではなく愕片なので長持ちし、種子を包み込んだまま残るとの事。秋には茎の節が太くなり、葉の鞘も膨れ、そこに閉鎖花を作り増水のリスクに備える。

・ウバユリ(ユリ科)
 近くの山から果実を持参。参加者にウバユリの果実の中身を調べて頂き、種子が整然と収納されている様子や種子に薄膜の翼がついている様子を観て頂いた。晩秋強風が吹くとタネは紙吹雪のように舞い上がる。

・ホトトギス(ユリ科) 
 オシベが先熟その後3裂したメシベの柱頭が下がり他の株の花粉が付きやすくなる。黄色は蜜標で外花被片(少し大きい花弁)の基部に蜜をためた丸い距があり。

・キイジョウロウホトトギス(ユリ科)
 例年より遅れたがやっと咲いてくれ安心した。下向きの釣り鐘状の花は意味があって全開しない。少し大きなトラマルハナバチなどが大歓迎のお客様。虫が狭い筒状の花に潜り込み、奥にある蜜を食べた後、後ずさりしながら出て行ってくれるのが狙いだ。こちらも 雄性先熟。

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・ツクバネ(ビャクダン科) 
 香木のビャクダンと同じく半寄生の樹木。雌雄異株でオバナもメバナも緑色で小さい。匂いでハエを呼ぶ。果実はつく羽根にそっくり。細い苞が4枚付き晩秋 茶色くなり、 回転しながら 風に乗って落下して行く。

・ヤブタバコ(キク科)   
 ガンクビソウの仲間でうつむいた頭花がキセルの雁首のように見える。ヤブタバコの根生葉や下部の葉はタバコの葉に似て大きく、シワがある。ヤブタバコの不思議は、茎が高さ約50センチ(場所により異なる)で いったん成長が 止まり、そこから四方に茎が広がる事である。晩秋、枯れた花びらや総苞片が落ちると茶色くなった種子は粘液を出し  四方に広がった茎の下を通る動物にしっかりくっつく、と言う策略。

・ハゼノキ(ウルシ科) 
 紅葉し果実は黒く熟していた。核は硬いが それを包む中果皮はロウ(ろうそくの原料となる) があり、鳥へのご馳走。カラス、キツツキ類、カラ類も よく訪れる。漆器に塗るウルシは別の種とのことだが、9000年前の縄文時代に作られた漆器が 青森の亀ヶ岡で発掘された。(京都文化博物館にて展示) 

・ヤマボウシ(ミズキ科)
 中国の常緑ヤマボウシが秋でも花を咲かせていた。4枚の白い総苞片の中心に淡緑色の小花が咲く。30個ほどが丸く集まり、受粉が出来なくても個々の花の基部が膨らみ全体がくっつき丸く育つ。赤い果実はよく見ると六角形の総合体。甘く動物に大人気。

・ハナミズキ(ミズキ科) 
 ヤマボウシに近い種で園芸植物。花はヤマボウシに似ているが果実はそれぞれ独立している。北アメリカ産でこちらは鳥の口に合うサイズである。

・ハシバミ(カバノキ科) 
 ヘーゼルナッツはセイヨウハシバミの果実。花は春に咲きメバナは赤い柱頭だけ目立つ。オバナの集合体は 尾状となって垂れ下がるが  秋からもう準備している。これで冬を越すらしい。

・シラキ(トウダイグサ科) 
 少し紅葉していた。枝や幹を切ると白い汁が出て  幹の内部もやはり白い。果実は  直径約2センチ弱で丸いがやや3つに膨らむ脂分多く食用や灯油となる。

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(写真はクリックで大きく表示されます)
・アオギリ(アオイ科)  
 雌雄同株、若い幹は青い。果実が不思議な形。メバナが咲いた後子房の果皮が5つに分かれそれぞれ細長い袋状になって中に種子を抱く。秋になりボート状になった。果皮は樹木の上で茶色く乾くと、種子を縁に乗せたまま風に吹かれて回転しながら落下する。種子は、炒ると食べる事が出来、コーヒーの代用にもなる。

・ネコノチチ(クロウメモドキ科)   
 果実は8月から11月になると黄色からオレンジ色、 赤色、黒色と変化する。色分けして熟した種子を少しずつ鳥に食べてもらう。名前の由来は果実が、授乳期の雌猫の乳首の形に似ているからとのこと。

・カンレンボク(ヌマミズキ科)   
 果実の形がバナナに似て個性的花はヤツデの花のように球状集合花である。ゆえに果実も始めは球状であるがやがてそれぞれのメバナからバナナ形の果実が出来る。一つの果実から多くの種子が出来る事から中国では子孫繁栄、縁起の良い木「喜樹」と呼ばれる。果実や根に含まれる「カンプトテシン」 が抗がん作用あり。 

(文/新堀)


11月~1月の行事予定

注意!
12月10日「吉田山と京大総合博物館を訪ねる」の
集合場所・時刻が、当初の吉田神社鳥居下10:30から、
京大正門前バス停10:15に変更になっています!


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予定表はクリックで大きく表示されます

雨天決行等の特記のない屋外行事は、前日
   21時前の
NHK天気予報や、前日17時
   の気象庁ホームページの天気予報で、行事
   実施地域の午前中(気象庁ホームページは
   6~12時)の降水確率が
60%以上の場
   合、中止です。なお、
気象庁ホームページ
   は当日の5時に更新されますが、その結果
   にかかわらず、前日17時の予報に従いま
   す。