京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。 旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2024年10月

研修会 10月21日(月)「季節の植物観察/色づいて魅せる秋の紅葉」の報告

 止まっていた季節が動き出したのか、秋らしい爽やかな朝になりました。そのせいでしょうか、本日の研修会は会員30名と実習生3名に一般参加の方が5名加わり38人です。赤對さんが挨拶をされ、今日の講師の海老原さんと岡さん、実習生と一般の方を紹介の後出発しました。(12時30分に森のカフェ前で解散)

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 2班に分かれ、私は岡さんの班に入りました。「今月のテーマは紅葉だそうですが、まだ早いので種子散布を中心に、新しく出来た食草園の虫と葉っぱも観察したい」という挨拶。ワイルドガーデンでクレマチスにからみついているツルは「ツルドクダミ」だそうで、タデの仲間なのにドクダミという名前がついているのはドクダミの葉によく似ているからだそうです。葉の脇に無数の白い小花をつけています。よく見ると団扇のような形の果実もついています。このタネの周りについている翼であちらこちらに飛んで行くそうです。花が咲いた後に出来る種子が分布を広げる散布法にはいろいろあって、風に乗ったり、水に運ばれたり、自力で弾けたり、動物に引っ付いたり、鳥などに食べられたり運ばせる相手によって工夫を凝らすという説明を聞きました。
 シナノキは、蜜源植物なので花から蜂蜜が採れ、樹皮の繊維が強く主にロープの材料に利用されているそうです。よく似たボダイジュとの葉の見分け方を教えてもらいました。ボダイジュは葉の裏全体に毛があってやや白く見える、シナノキは葉の裏の葉脈の分岐点に毛の塊があることで見分けられるというので、ルーペを取り出してしっかり観察しました。不思議な形の2~3個の実をぶら下げた総苞を高く投げ上げて、くるくる回って降りて行くのをワイワイ言いながら見ました。飛ぶための仕掛けはヘリコプターの翼ですね。
 途中でジョロウグモのメスと複雑な網が張っているのを見つけられました。この網には体長1ミリほどのシロカネイソウロウグモが居候して、食べ残しなどを失敬して生活しているという事や、三重構造になっていてゴミ捨て場もあるという話面白い話に、「クモは嫌い」と言っていた方がとても興味を持たれたようでした。
 新エリアの蝶の幼虫が食べる食草を植えた「食草園」では、カラスザンショウにナミアゲハの幼虫がいました。チョウは種類によって食べる食草は異なり、それぞれの幼虫が特定の植物のみを餌として利用するそうで、ナミアゲハはミカン科の植物、ジャコウアゲハはウマノスズクサ類のみを食草とし、その毒を体にため込んで、成虫になっても体の中に毒が残って鳥などが襲わなくなるという戦略だそうです。アサギマダラとの関係を認識するためにキジョランの鉢植えが展示してありました。岡さんはマーキング調査などにも参加されているそうで、羽に書く標識の話もしてくださいました。
 秋はコスモスの季節。虫を呼ぶための舌状花と真ん中の筒状花にある雄蕊と雌蕊を観察。花弁が星形に開いた先の葯室から花粉を分泌中のものや、雌蕊の柱頭が左右に大きくカールして頭を出しているのを見分けました。こうして中を覗いてみると、とても美しいことに感動です。

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 先週まできれいに咲いていたバクチノキフジバカマの花が終わりかけて香りだけ嗅ぎましたが、一緒に咲いていたアキニレが早くも実をつけていたのに驚きました。持って来て下さったハルニレの葉と分布の違いを聞きました。この実はアトリ、カワラヒワ、イカルなどの鳥が食べるそうですが、真ん中の種子が重心になり風で飛んで行くそうです。
 オニグルミの硬い殻を割って食べるのはリスやネズミ。リスは縫合線に沿って開けて中身を食べるので食痕でどちらが食べたかわかるそうです。
 カラコギカエデの翼果が枝にたくさんついています。この仲間は2個のセットで、いかにもそのままで飛んで行きそうですが、とぶ直前にはタネの間に隙間が出来て1個ずつになって飛んで行くと言う事です。
 カンコノキもカボチャのような実をつけています。ハナホソガとの絶対共生は、どちらかが絶滅するとどちらも終わってしまうという話は何度聞いても面白い。9月頃に必ず来るオオキンカメムシの話もありました。
 ワレモコウは穂の先端から咲き始める「有限花序」の咲き方、お昼から咲く毛むくじゃらのタヌキマメ。鳥に食べてくださいとアピールする赤い実のガマズミ、水に浮いて広がるハマナツメ。サングラスのような面白い形をしてヌスビトハギよりも大きな実のフジカンゾウ。仕組みは引っ付く付着散布ですね。
 「サクラの花が咲いている!」との声で、一斉に皆の視線を集めたのはキンキマメザクラ。3月に咲くはずなのに葉っぱが落ちて、狂い咲きしてしまったようです。その前にあるホトトギスの花。葉を裏返して探してみたら、茎に逆さまにぶら下がっている羽化したばかりのルリタテハがじっと羽を乾かしているのを誰かが見つけてくれました。タイミングが良かったのかもしれませんが、命のドラマに付き合うことができた、そんな嬉しさがこみあげてきました。

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 今回は岡さんの案内で果実の散布の仕方に様々な工夫が見られましたが、植物と鳥や昆虫との関りなども説明されたので、より植物の奥深さを感じました。紅葉は時期がずれましたが、お天気も良くて多くの果実が見られ、講座生の方からも「新しい知識を得た」、「「観察が楽しかった」と好評でした。(文/大)

例会 10月8日(火)「奈良・佐紀盾列古墳群と平城京跡を巡る」の報告

 10月になりやっと涼しくなり、古都奈良の佐紀盾列古墳群と平城跡のフイールドワークが行われました。どんより曇ったなか、近鉄平城駅に集合。22名の参加者。佐紀盾列の読み方は「さきたてなみ」或いは「たたなみ」だが、私は読めなかった。この漢字の読みと平城京のすぐ北の丘陵地の古墳群とが、結びつかなかった。当日は、11時頃まで小雨模様だったが、山下さんの名解説と皆さんの熱意で天気はよくなり、昼前から秋の清々しい古都平城京跡の見学ができた。

 近鉄の線路を渡って、五社神(ごさし)古墳に向かう。宮内省管轄下の陵墓で、「狭城盾列池上陵」で神功皇后陵とされている所。説明板に「多他那美」「多多那美」とあった。佐紀も、狭城から転じた漢字とわかった。神功皇后は第14代仲哀天皇の皇后で、夫の急死後に朝鮮半島に攻め入る軍船上で指揮をとったとされる人物(戦前の国史教科書で有名)。日本書紀では百歳。息子は第15代応神天皇で百十一歳、次代が第16代仁徳天皇とされる。応神以降の天皇陵は河内・和泉に移っていく。再び近鉄線路をこえて佐紀石塚山古墳へ、こちらは狭城盾列池後(いけじり)陵で第13代成務天皇陵。並んだ古墳が第12代垂仁天皇皇后の日葉酢媛命陵(ひばすひめ)陵三つの古墳が狭い所に固まって築造されていた。なぜ、第46代孝謙・重祚第48代称徳天皇陵がここにあるのか、不思議であった。ここには説明板もなかった。
 山上八幡神社で小休憩。八幡神社は戦争と軍事の神を祀っている。奉納されている絵馬には戦さの場面の額が飾られていた。実物の神馬から絵馬への変遷、奈良の丹生川上神社下社、京都の貴船神社の説明も興味深かった。少し下った所の隆光上人の墓あり。江戸時代の将軍綱吉と母桂昌院との関係深く、東大寺大仏殿の再建や奈良の寺々の復興に尽力したとのこと。やや高台なので東大寺、若草山、高円山方面を見下ろせる地形であった。天気も回復してきて、心地よい秋のフイールドワークとなった。
 住宅地にほぼ隣接するところに、平城宮第1号木簡出土地があった。今はススキや雑草のなか説明の石碑板が埋もれてしまっていた。木簡研究の方々にとっては、記念すべき場所であろう。草をかき分けて、参加者皆で確認。続いて第51代平城天皇の陵墓へ。784年に父第50代桓武天皇が長岡京へ遷都、794年に平安京に遷都するも、長男平城天皇は奈良にこだわって貴族間の抗争(藤原薬子の変)に発展した。桓武天皇の伏見柏原陵や弟の第52代嵯峨天皇は嵯峨北山陵と京都で葬られたが、平城天皇は平城京に隣接した楊柳陵(やまもも)に眠っている。この地はまっすぐに南下すると、内裏―第二次大極殿―東区朝堂院―朝集院の発掘された遺構が連なる場所であった。
 昼食は、復元事業情報館。すぐ横にヨシの繁る場所があり、ツバメがワタリ前に集合する所で、ねぐら入りを見るフアンにとって絶好の地とのこと。野鳥好きの方は来年にはぜひ、この地を訪れたらよいと説明があった。

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 午後は平城京跡の復元建造物や現在復元工事中の建物、遺跡跡をていねいに廻った。私は、平城京跡の中の復元がこんなに進められているとは知らなかった。これまで平城京跡資料館や二・三の建物しか見学していなかったので、今回初めて見る場所が多かった。パンフレットも各見学場所に備え付けられており、充実していた。概観は「平城京跡歴史公園」の地図を見て歩くとよい。建物見学は月曜日休館に注意。
 最初は第一次大極殿。国家的儀式をする場所で、南北320m✕東西180mの区画に復元されており、内部の見学ができる。ここの中央に「高御座(たかみくら)」が復元展示されていた。説明には復元にあたり、大正天皇即位時の高御座を参考にしたとあって、古代から近代までの詳細資料が不明とのこと、意外であった。上方の天井近くに色彩あざやかに、さまざまな動物が描かれており、四神十二支と説明があった。平城京跡の建築の復元工事が次々と進められているが、現代のさまざまな技術者たちが、知恵を絞って古代の技術者の仕事に向き合っていることが分かった。
 第一次大極殿から東に向かう。第二次大極殿跡地で基壇のみ復元、さらに東に歩いていくと、推定宮内省の塀や建物の一部復元、さらに遺構展示館へ。発掘調査の時の遺構のようすが保存されて、ガラス越しに見られた。内裏で使った大きな木製の井戸が印象的。宮都であるので、天皇・貴族の使用する水の問題は重要だった。外に出て南下して、東院庭園へ。こちらはあまり見学者が気づかない所か、見学者がほとんど無かった。古代の日本庭園が広大な敷地に復元されていた。東宮(皇太子)の建物に隣接した場所で、迎賓館の役割を持った。池の中央に宴会用の建物があったが、八角形の柱で作られた隅楼が珍しかった。
 東院からさらに南に近鉄線の踏切を渡り、朱雀門へ。第一次大極殿より真っすぐに南下すると、この朱雀門となる。朱雀門は、平城京の正門で左右に高さ6mの築地塀があった。
 平城宮跡の見学の最後は、復元された遣唐使船の見学。意外に小さい船であって、これで百人以上の貴族や僧侶、船乗りを乗せて、竹の帆で外洋の東シナ海を渡れたか、と思ってしまった。

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 この日は10時から歩き始めて、古都奈良の古墳群と平城京跡の史跡を巡ったが、秋の1日の充実した見学会だった。歩数計は1万6千歩を指していた。詳しく案内をいただきました山下さんにはあらためて感謝申し上げます。   (文/木全)

研修会 9月24日(火)「季節の植物観察/残暑の中で頑張る植物」の報告

 記録的な猛暑もようやく落ち着いたのか、秋の空気に入れ替わったような涼しい朝になりました。本日の研修会は、会員29名と実習生4名の計33人が参加されました。赤對さんが挨拶をされ、今日の講師の新堀さんと讃良さん、実習生の自己紹介の後出発しました(12時30分に森のカフェ前で解散)。
 2班に分かれ、私は讃良さんの班に入りました。先ず京都植物園が100周年を迎えると言う事で、大正天皇即位の時に博覧会会場の利用地となる予定だったという歴史を紐解くお話から始まりました。

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 葉に実がぶら下がったように見えるのはシナノキですが、葉ではなくてヘラ状の苞葉で秋には実と一緒に飛んで行くそうです。仲間のボダイジュとヘラノキのそれぞれの違いを見分けるポイントを並べて説明がありました。
 ワイルドガーデンの中の花も暑さで少なくなっていましたが、そんな中で、山の中でもよく見かけるホトトギスの花が咲いていました。いろいろの種類があるそうで、ここはタイワンホトトギスといって、先でいくつにも枝分かれしたところに花がついています。花の形や模様も特徴的で、このまだら模様が鳥のホトトギスのお腹に似ているのが名前の由来だそうです。
 9月に新エリアとして蝶の幼虫が食べる食草を植えた「食草園 - いもむしのレストラン」がオープンしました。蝶の幼虫や成虫と植物がともに成長する様子を観察できるエリアだそうで、こんな近くで蝶のお母さんや赤ちゃんが見れるのは嬉しいですね。カラスザンショウの木にアゲハの仲間の蝶の幼虫がいるのに気づきました。これから多くの蝶が集まって来てほしいですね。
 まるでイチジクのようなオオアブラギリの立派な実は、有毒のため食用は不可だそう。残念。その下に秋の七草の一つのフジバカマの花が見頃を迎えています。桜餅に似た甘い香りも優しい色合いも好きな花です。よく似ていて山野に多いヒヨドリバナと見間違う事が多いのですが、葉が大きく三つに裂けるのが基本だそうです。
 100年の歴史遺産樹木「ヘリテージツリーズ」の標識があるカツラの葉から甘い香りが匂ってきます。落枝にバナナのような果実が付いていたので殻を割ってみると、小さな種がたくさん入っていました。発芽は望めなくても、歴史を経て生きて来た木です。いつまでも次に生き残っていってほしいと思いました。
 ヤブミョウガは花と実が同時に見られました。一つ割ったタネを持ってきて下さったので観察。角張ったブロックの形をしています。こんな形でも鳥には美味しいのでしょうか? 姿はミョウガに似ていますがツユクサ科です。側にキジカクシ科のノシランヤブランも花が咲いていました。

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 ノグルミ、カラコギカエデ、アブラチャン、アレチヌスビトハギを観察。カンコノキは、緑色の地味な花を咲かせていますが、ここでハナホソガが受粉の時に極めて特殊な送粉行動をするという話を聞きました。雌雄異花ですが、初めに雄花を訪れて花粉を集め、その後に雌花を訪れて、柱頭に花粉をこすりつけて受粉。受粉した雌花に卵を一つ産み付けて、その後は花の中でふ化した幼虫が、発達途中の種子を食べて成長する共生関係にあるという事でした。このハナホソガが幼虫の餌としてカンコノキの種子のみを利用するという事が面白かったです。
 まだまだ面白い花が続きます。ワレモコウは「吾亦紅」と言う別名があり、「吾もまた紅なり」と唱えたことが由来だそうです。次のタヌキマメは茎や葉、果実に褐色の長毛が生えていて、正面から見るとタヌキを連想させるのでしょうか? どこかユーモラスな印象を受けますが、お昼からしか咲かないという青い花はエレガントな感じです。そしてタヌキの次がミズトラノオ。花穂が虎のしっぽに似ていることが由来だそうです。でも、ひっそりと水辺に咲いている姿は可憐な感じです。ミツバハマゴウツリフネソウサクラタデ、橋を渡ったらヒガンバナに出会いました。地域によって違いがあっても9月中頃から咲き出すのですが、今年は遅いのかもしれません。この時期のシモバシラは白い花が咲いています。真冬の氷点下に地中の水分が染み出して美しい芸術品のような柱を作るシモバシラはめったに見られませんが、「京都植物園公式ブログ」にアップされるとファンが朝早くから見に来られます。カリガネソウは雁が飛んでいる姿に見立てられたそうです。ブルーの涼しげな花ですが、近づくと異臭を放ちます。長くカーブした雌蕊と雄蕊が特徴で、花の蜜に誘われた虫の背中に花粉がついて受粉できる仕組みになっていると説明がありました。

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 今日のテーマは「残暑の中で頑張る植物」でした。立っていても汗が噴き出るような暑い夏でしたが、讃良さんのお話から植物はそれぞれの花を咲かせ、生き残る工夫をしているのだという事が良く分かり、暑さに負けない力をもらいました。(文/大)