京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2024年07月

例会 7月17日(水)「大津市文化ゾーン公園でのキノコ観察会」の報告

 曇りで蒸し暑い中、びわこ文化公園文化ゾーンで行われたキノコ観察会には会員15名、一般2名の方々が参加されました。また、会員の土佐さん、海老原さん、岡本さんと菌類研究会の木村さんに講師を引き受けていただきました。

 前日の雨で土壌が湿っているので多くのキノコに会えるのではと期待していました。しかし、最初に土佐さんから「土曜日に来たときは集合場所辺りの法面一面にキノコが生えていたが、今朝見てみると日曜日と月曜日の豪雨で流されたのかなくなっている」との話があって、ちょっと残念な気持ちに。それでもキノコはまだまだ残っていると思われるので気を取り直して出発しました。
 17人の目でキノコを探しながら、見つけては名前を聞き、説明を受けながら約1.4kmを2時間30分かけて歩きました。わからないキノコもありましたが、後で同定できそうなキノコを採取していきました。
 皆さん熱心にキノコを探したので予定より1時間近く遅い食事となりました。食事後、東屋で採取してきたキノコの同定を行い、土佐さんからキノコについての説明を受けて終了しました。

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カワリハツがヤマモモの木近くで見つかったが、カワリハツは菌根菌でヤマモモと共生しており、木が大きくなるのを助けている。また腐生菌は落ち葉や枯れた木に生えてこれらを分解して綺麗にしている。他にクモタケのような昆虫に生える寄生菌があり、土曜日にはクモタケがあったので見つかるかもで探したが雨で流されたのか見つからず残念だった。また、カワリハツは取られずに多く残っているがこれは美味しくなく、ボロボロとれてしまうもろい肉質であるためだそうだ。カワリハツのようなベニタケ科の細胞は球形細胞を多く含んでいるので発砲スチロールのように取れてしまうが、シメジや松茸などは子実体全体が繊維状の菌糸で構成されているのでもろくない。
シロハツモドキは傘の上に落葉が乗っていたが、これは傘が開いてから柄が伸びるためだそうである。
テングダケにはツバやツボがあるなどの特徴、イグチ科の傘の裏はヒダではなく管孔になっている、ベニダケの赤は雨で流されて特定するのは難しいなどの説明を受けた。
・真っ赤な色の小さなベニヒガサ、キノコとは思えないシロソウメンダケ、クロタケに生えるヤグラダケだがキノコを知っている人には貴重らしい。
・その他、ツチグリツチガキ、滋賀県で見つかったミイノモミウラモドキなども見つかりました。
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(写真はクリックで大きく表示されます)
 採取して同定できたキノコは59種類。変わったキノコを見つけるのが楽しい観察会でした。
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地域貢献(環境保全活動)6月19日(水)「鵜殿ヨシ原でのナガエツルノゲイトウ駆除」の報告

 梅雨入りが遅れ、快晴となった高槻市の鵜殿ヨシ原に、有志ボランティア7名(讃良、赤對、海老原、永井、岸本、山本、坪倉)が参加して、高槻市立自然博物館の高田先生のご指導のもと、侵略的特定外来生物ナガエツルノゲイトウ駆除が行われました。当クラブ会員のほか、高槻市民のボランティアによる「ナガエツルノゲイトウバスターズ」メンバー5名に加え、高槻市農林緑政課の担当者1名も、資材運搬用の市の軽トラを運転して参加されました。

 場所は新しく発見された、新名神淀川橋工事現場のNEXCO西日本工事基地の作業員詰所のプレハブ建屋周辺です。ここは、明らかに「靴底拡散」による新たな繁殖地で、2023年10月4日に除草剤を散布し、日光を遮る防草シートを敷設した場所です。全国の研究者の実験で、移行期(稲の収穫期頃、養分が葉から根に移行する時期)に除草剤散布の効果が期待されるとの事で、1%希釈ラウンドアップ剤を散布の上、防草シートを敷設したものです。

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 顔合わせの挨拶のあと、高田先生を始め、14名全員で一斉にシート剥がしに掛かりました。駆除の成功の期待が大いに高まっていましたが、なんと、ナガエ以外の雑草はすべて枯れ果てていましたが、ナガエだけはピンク色のもやし状に発芽していました。なるほど「侵略的」と言われるだけの生命力です。靴底に挟んだ茎の断片からは、2週間足らずで発芽することを、私の長靴で実証済みですが、高田先生の実験では、葉っぱの断片1枚からも、その主脈から発根したとの事です。経験不足の学生ボランティア等の不用意な駆除では、結果的にかえって侵略域を広げてしまうと言われる所以です。

 駐車場なのでバラス混じりの堅い土でしたが、バールで根の周りを崩してスコップで掘り上げると、意外にスポンと抜けてくれました。数年物ではなく2年物なのでまだ根が浅かったようです。ごつごつした、直径3~5mm程度の根や、もやし状の芽を一袋、約4kgを駆除して1時間余りで作業を終えました。

 途中、淀川橋施工のJV工事責任者も見に来られ、繁殖エリアを示すポールを残しておく事を申し出てくれました。また、作業員の方からは立入禁止のステッカーの貼り出しでご協力頂きました。今後、繁殖エリアの除草と再発芽の監視・駆除をバスターズ鵜殿班で行う予定です。 

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 駆除終了間際に、雅楽協議会の「つる草抜き」のつる草発芽水没駆除を進める、国交省淀川環境委員会元委員の綾先生もお出でになり、皆で導水路脇のカヤネズミの巣の観察に向かいました。狙っていた巣は見つからなかったのですが新たに讃良さんが1個発見しました。高田先生によると作り掛けの巣らしいとのお話でした。カヤネズミは日本一小さな夜行性のネズミですが、人の手が巣に触れると、その匂いで、子供を殺して巣を放棄するらしいです。予定では、つる草抜きの現場も見学したかったのですが、猛烈な日差しに早々にヨシ原から撤退しました。

 解散後、昨年11月1日に大量繁殖したナガエを駆除した、淀川本流から導水路にポンプアップしている吐出口周辺を高田先生とパトロールを行い、1株の再発芽を確認し駆除しました。水中での発芽は無いようですが、絶滅にはまだまだ遠いようです。

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(写真はクリックで大きく表示されます)

 なお、シニア自然大学校では「地域組織」として、当クラブを含め6団体が、一般のサークルと分けて位置付けられています。いずれも「地域貢献」「社会貢献」を目的の一つにしており、当クラブも志津南小の学習支援や、特定外来生物の駆除などの環境保全活動は、大切な目的の一つとして続けたい活動です。 (文/赤對)


研修会 6月17日(月)「季節の植物観察」の報告

場所   京都府立植物園  天候 曇り

出席者   会員19名、実習生2名、合計21名

案内役   齊藤ちづみさん、澤田章夫さん

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  開始前 澤田さんがクイズ形式で「梅雨について」話をされ参加者の関心を引いておられた。

🔘シナノキ
ホウの先に小さな花が いくつも垂れていた。
葉の形、鋸歯の有無、毛の有無、非対称か?などをじっくり観察して頂いた。

🔘キキョウ
秋の七草であるが既に咲いている。雄しべ、雌しべをじっくりと観察して頂いた。自家受粉を避けるための工夫はいろいろとあるがキキョウは雄性先熟とのこと。

🔘キハダ
残念ながら 幹は切られていたが 内樹皮の様子や色を観察出来た。内樹皮から作られた漢方薬の黄檗入りドロップをひとり一つずつ頂いた。

🔘アカダマキヌガサダケ
見事なレーススカートを披露していた。
菌網のレースは異臭を放つ胞子を含んでおり、ナメクジやハエが食べに来る。
キヌガサダケは、中華料理に使われるとの事。

🔘ホソバイヌビワとイヌビワコバチの関係について絵や写真で説明され、参加者は熱心に聴いておられた。

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 🔘ナツツバキ
白いツバキの花が咲き、赤茶色で、まだら模様の幹皮がすべすべしているのが特徴。
仏教三大聖樹についてインド菩提樹、沙羅双樹、そして無憂樹(マメ科)摩耶夫人が この花に触れようとした時  お釈迦様が生まれたそうだ。

🔘ドクダミ
アルデヒド由来の臭気があるが、生薬は十薬と呼ばれ殺菌効果あり。
地下茎と根を密に張り巡らす。

🔘ツリフネソウ
花言葉は「私に触らないで」果実が熟すと少しの刺激で果肉がはじけ  種子が飛び出す。
花の奥は細長いキョになってくるりと巻き蜜をためる。

🔘カラスビシャク
ムカゴを探した。昔、根茎を薬屋に売り、へそくりにしたそうだ。(別名ヘソクリ)
ウラシマソウに似て付属体から釣り糸を出す。葉は3小葉。

🔘オオハンゲ
カラスビシャクより 全体に大きい。葉も大きくて深く3裂。ムカゴをつけず。雌雄同株であり、虫の脱出口あり。

🔘オオカメノキ
兎の頭のような冬芽、亀の甲羅に似た葉、ガマズミ系の花と果実など絵で説明して下さり良く分かった。

🔘アジサイ
クイズで注目を引く。開花の決め手は?
アジサイの他の呼び名は?七変化や俳句で使う四ひらなど言葉の由来も教えて頂いた。

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(写真はクリックで大きく表示されます) 

参加者は、どの植物も熱心に聴き応えておられました。
有り難うございました。   (文/新堀裕子)