京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2024年05月

6月~9月の行事予定

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予定表はクリックで大きく表示されます

雨天決行以外の屋外行事について、前日17時発表の気象庁の天気予報で、
 該当地域の行事当日の午前中の降水確率が60%以上の場合、中止です。
 詳しくは当クラブの概要紹介を参照願います。


例会 5月20日(月)「長岡京市の中山修一記念館と長岡天満宮を訪ねる」の報告

 阪急西山天王寺駅に集まったのは20名。午前中は10名ずつ分かれての2班での見学会となる。澤田班は、恵解山(いげのやま)古墳経由で当初予定していた中山修一記念館へ、西堀班は直接記念館へ。案内は、長岡京市ふるさとガイドの会にて活躍されている当会のメンバーである西堀さんにお願いしての一日。

 最初に訪問したのは、長岡京発見、その歴史解明に一生涯を捧げ多大な業績を残された故中山修一先生のご遺族が作られた「中山修一記念館」。館内では、長岡京発掘の経緯と功績が展示・解説されているパネルを中心に記念館の担当者による詳しい説明を受ける。先般(3/22)当会にて訪問した長岡京市埋蔵文化財センターを見学、説明を聞かれた参加者の皆様はより深い知識を得る事が出来たと思われます。

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  次に京都盆地最大の前方後円墳(全長約128m)恵解山古墳を訪れる。墳丘は3段に築かれ、テラスには1800ヶの各種埴輪(はにわ)が並べられていたようで、当時を再現する円筒埴輪や朝顔形埴輪等素焼きにしたものが10年前の古墳復元時に並べられています。古墳からは、約700点もの鉄製武器類が埋蔵されており、その状態が説明されていました。古墳は、その規模や構造から5世紀前半頃に桂川右岸の乙訓地区を治めた支配者の墓と考えられている。今では、地域の史跡公園として市民の集いの場として整備されています。また、1582年の「山崎の戦い」での明智光秀の本陣跡とも記されていた。これも昨年(9/26)に訪問した「御坊塚」との説(中山修一先生)もあり、色々な学説があるようです。

 明智光秀の娘「玉」が、細川忠興に嫁いだ勝竜寺城跡に行く途中にある「勝竜寺」に立ち寄る。このお寺は、大同元年(806年)に帰朝した弘法大師(空海)が唐の長安で修業した青龍寺の名をとって創建したと伝わるお寺である。ご本尊は、重要文化財の十一面観音、室町時代には、守護大名が地域拠点としてこのお寺を使っていたが、応仁・文明の乱が始まると、西軍方の畠山義就の勢力が入り、軍事拠点となった。その後、勝竜寺城が築かれた。また、近年「ぼけ封じの寺」として参拝される方もお見えのようだ。

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  そこから徒歩5分の場所にある、勝竜寺公園(勝竜寺城跡)に向かう。同公園は、今から約450年前の戦国時代末期、織田信長の家臣細川藤孝が大改修を行った勝竜寺城跡に整備されている。同城は、明智光秀の「最後の城」、細川ガラシャの「輿入れの城」として有名で、毎年(平成4年度から)玉のお輿入れの様子を再現した行列巡行等の「ガラシャ祭」が、執り行われている。
 庭園には、藤孝の長男の忠興と、明智光秀の娘であった玉(後の細川ガラシャ)の銅像がある。北門にある石垣の一部は当時の状態が保存された野面積みであり一部は五輪塔や石仏も利用されている。また、外壁の外には、細川九曜門を表現した休憩所が設置されている。
 此処で昼食を終え、JR長岡京駅に向かう途中にあるのが、勝竜寺城の惣横の土塁・空堀跡、これは、低地にある城の守りを堅固にするため城の北側に堀の底から土塁の頂部高さ6mを超える大規模な土塁・空堀が築かれた。JR長岡京東側には、終戦間際に空襲を受けた旧日本輸送機の煙突の傷跡(碑)が残されている.

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 (写真はクリックで大きく表示されます)
 最後に、「キリシマツツジ」で有名な長岡天満宮へ、五つの鳥居をくぐり本殿にて参拝。その後、八条池にある水上橋を進むとセンダンの花の甘い匂いが、その先には、スイレン(睡蓮)やコウホネが見頃を迎え、私達を楽しませてくれた。カキツバタ黄菖蒲は花の時期が終わったのか、また、花菖蒲は少し時期が早いのか?でも少し綺麗な姿も観る事が出来ました。


 この地で長岡京歴史探索も解散、西堀さん本当に有難う御座いました。
                           (文/
T.SAWADA)

研修会 4月26日(金)「季節の植物観察」の報告

 今年度初めての研修会は、新会員も増えて参加者が多いのでは?と予想されたのですが、いつもより少ない目の22名(会員20名、一般2名)で、案内は、植物、昆虫、鳥すべてに詳しい岡さん、植物関係の珍しいことをよくご存じの新堀さん、そして中林でした。
 研修途中、岡さんのグループが植物園に来園した会員外の方が入り込んでしまって大人数になっており、最終的には、その方が我がクラブに入会したいということになりビックリでした。こんなこともあるのですね。 

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 さて前置きが長くなりました。
 私のグループは、新しい会員の方お一人を除けばベテラン会員の方ばかりで、皆さんの助言を頂きながら、ワイワイガヤガヤと研修することができました。
 我がクラブは、京都府立植物園をホームグランドにしており、今年は開園100年という記念すべき年なので自己紹介後、開園からの歩みを紹介しました。
 まずは、ワイルドガーデンの花壇の端、エノキに巻き付いているフジを観察したかったのですが、残念ながら、花がほとんど散っていました(下見の22日はきれいに咲いていましたが)。上の方に巻き付いている花を見上げながら、フジの特徴及びクマバチとの共生関係等を説明しました。(私は、先日、例会における奈良飛火野と万葉植物園の満開のフジで感激しました。)花壇では、ハーブの一種のボリジ、アブラナ科のゴウダソウ等、花壇の反対側では、カラスノエンドウ(花外蜜腺について)、シラボシムグラ(2004年日本各地で自生が確認された新しい帰化植物)、シダレヤナギ(花が終わり光を浴びるために葉が反り返っている)を観察し、オオアブラギリの花が咲いていたので観に行きました。生態園の入り口付近では、カツラが、もう緑色のバナナ型の実をつけており、紫色のショカッサイ(ムラサキハナナ)もきれいに咲いていました。 
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 生態園では、シロヤマブキの花は一輪のみ咲いていました。バラ科であるが、花弁が4枚、葉は対生です。参考にシロバナヤマブキは、花弁が5枚です(ややこしいです)。アブラチャンは、小さな緑色の実がぶら下がっていました。ミツバウツギは、白い花を咲かせていました。花弁が5枚であるがガクも白いので、花弁が10枚のように見えます。花は完全に開きません。蝶やハナバチ等訪れてくれる昆虫を制限しているようです。実は、皆さんご存知のブルマ型、昨年の茶色の実がまだ残っていました。奥に進むと、5月15日に開催される葵祭には欠かせないフタバアオイの葉が青々と茂っていました。葉をめくってみると地味ですが可憐な花が咲いていました。茎の先に対生に2つの葉をつけ、その基部から花が垂れ下がっていました。花弁がなく、ガクが反り返っているのが特徴です。
 ここで、ハンカチノキの花が咲いているということで、見たことがない方がおられたので、生態園の北側に出て、ハンカチノキの方に向かいました。途中、モミジの木があるところでは、モミジの花は終わっていましたが、実(翼果)を観察しました。イロハモミジオオモミジがあったので見比べてみました。オオモミジの実は、大きなU字状で葉の下からぶら下がるように付き、イロハモミジの実は、小さく竹とんぼのように水平に開いて、上向きにニョキッと出ており、ピンク色でかわいいです。モミジは紅葉が有名ですが、可愛い花(青モミジと赤い花のコントラストがきれい)と実も見て欲しいですね。
 ハンカチノキに到着、花は満開ではなかったですが、まだ残っていました。大変珍しい木です。花弁がなく、2枚大小の白い苞が花を囲っています。苞は、はじめ緑色でクリーム色から白色と変化していきます。10月ごろ、実が熟すそうなのでまた見てみたいと思います。 

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(写真はクリックで大きく表示されます)
 再び、生態園に戻り、シロバナタツナミソウ、根生葉の形が「馬の足形」にみえるウマノアシガタフタリシズカシャガ(雌しべ及び雄しべの確認)、アマドコロとホウチャクソウの違い、セリバオウレンのタネ、日本固有種であり京都御苑内で発見されたムラサキサギゴケに似たカワセミソウコウライテンナンショウ、大きな花を咲かせていたシャクナゲ、吊り下げたような花が可愛いツリバナ、葉の上にちょうど花を咲かせているハナイカダを観察しました。ハナイカダは葉から直接花が咲いているのではなく、花柄と葉の主脈が癒合したため(よく見ると主脈が花の手前まで太い)見かけは葉の上に花が乗っているようにみえるのだそうです。またこの構造だと花粉を運んでもらうアリが歩きやすく、蜜を吸うときに足が安定しますね。雌雄異株で雄木と雌木がありますが、雌木が元気なく心配です。
 森カフェの近くに藤棚があり、まだフジが咲いていました。最初に見たフジは,ヤマフジですが、こちらはノダフジです。ノダフジは、大阪市福島区野田の地名に由来、基部から先端かけて順に咲いていきます。ヤマフジは、一斉に咲きます。
 他に、クスノキの落葉、シロバナトキワマンサク(樹齢100年)ベニバナトキワマンサク等を観察しました。

 昼食後は、5人で、午前中に見ることができなかった植物を観察しました。
 今日は、青葉もきれいで、森林浴もできました。
 新堀さん、岡さん、皆様、ありがとうございました。(文/A.N.)

例会 4月23日(火)「飛火野の藤の花観賞と万葉植物園」の報告

 2024年度、最初の例会は「飛火野の藤の花観賞と万葉植物園」を企画いたしました。本日は朝から小雨模様でしたが10時の開始時には雨も止み、朝礼では本日、雨は降りませんと根拠なくお話しましたが結果その通りとなり活動終了まで雨が降らずラッキ-でした、よかったですね。

 今日の案内は「ならなぎ」で活躍されており、当クラブの会員でもある義田さん、上森さん、村上さんにお願いいたしました。参加者は会員34名と一般参加1名の計35名で、この天気にしたら多くの方に参加していただいたと思います。又ご夫婦で参加の方が3組おられました、大変結構な事と思いました。皆さんもこれからの活動にご夫婦で参加されてはいかがでしょうかお待ちしております。

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  活動のスタ-ト、私は村上さんの班に入りました。まずは集合場所にある「行基像」の説明を受ける。行基像は東大寺の方に向いている。実は東大寺の創建に尽力した方で資金集めなどボランティアの先駆けである。又ため池・15個、道場や寺院・49個など土木工事での業績も凄い。
 「東向商店街」の説明を聞く、東福寺にお尻を向けないために店を東向けに構えたとの事。
 そして「北円堂」ここは凄い、日本に現存する八角円堂で最も美しいと言われているもちろん国宝。続いて「三重塔」へ。興福寺で最古の建物でここは静かなる興福寺と言われている。1階部分には4つの壁に計4000の仏画が描かれているそうだ。階段を上って「南円堂」に西国三十三所の第九番札所で江戸時代に再建された唐破風(からはふ)が付いている。また寺なのにしめ縄があるのも不思議。ここは左近のサクラでなくフジ、興福寺を建てた藤原氏の家紋がフジだからと説明を受ける。
 「般若の芝」、「南大門跡」と進む。そして「中金堂」は2018年に再建された、柱は66本、直径77cmでカナダ産。広目天、増長天、多聞天、持国天の国宝の仏像がある。「五重塔」は120年ぶりの修理中で完成は2031年との事。
 少し移動して「菩薩院大御堂」へ。入口すぐにカラタチ(唐のタチバナのこと)が奥にはヒオウギとヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)の白い花は今満開で素晴らしい。ここでは「三作の石子詰」の悲しい話を聞く。
 「一の鳥居」に向かう山道内側にある影向の松(ようごうのまつ)、この松の前で若宮おん祭の時は祭事が行われる。昼食は荒池がある広場で,鹿が多数おり餌を欲しがる素振りで注意し食事をする。

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  午後は本日のメインの「飛火野」のフジ観察。フジの詳しい説明を受ける。フジは大別してノダフジとヤマフジに分かれノダフジは根元から花が咲き続いて先端まで順次咲く。ヤマフジの花は一斉に咲き少し大きめ。
 飛火野の端まで歩き「雷のクスノキ」を見る。8回の雷を受けたそうだ。大木で幹は中空、外側のみ残っているが凄い生命力で立派な枝ぶりと新緑である。この木に野生のフジが絡まっていてなんとも素晴らしい景色にあっぱれ!!
 「ささやきの小径」を通り「金龍神社」に後醍醐天皇を記念する碑もあった。
 「春日大社」に入る、境内は大勢の観光客でごった返していました。お目当ての有名な「砂ずりの藤」ほぼ満開で圧巻でした。境内を出て「万葉植物園」に向かう。ここで終了解散14時40分でした。

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(写真はクリックで大きく表示されます) 
 義田さん、上森さん、村上さんには詳しく、丁寧に興福寺、奈良公園に関する歴史や植物など幅広く説明いただき本当に有難うございました。
 「万葉植物園」は自由参加としましたがほとんどの方が入園されました。多品種、多数のフジが満開で見頃でした。   (文/澤田章夫)