京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2023年07月

例会 7月19日(水)「大津市文化ゾーン公園きのこ観察会」の報告

 梅雨明けも間近と思われる曇天の中で、瀬田公園で行われた「キノコ観察会」には会員18名、一般3名が参加されました。講師は会員の土佐さんと岡本さん、海老原さんに菌類研究会から木村哲子さんに来ていただきました。

 はじめに土佐さんがキノコを採取するには公園事務所から許可をもらって、腕章をつけていないと出来ないという話と熱中症に気を付けてと言う注意を受けてから出発しました。
 すぐにベニタケ科の① カワリハツが見つかりました。カサ表面の色は白っぽかったですが、ピンクが混じったのから赤紫色まで様々なタイプがあるようで、シイ科の樹木がある所では数が多いそうです。ここでキノコが自然界の中でどのような役目を担っているのか説明がありました。すべての生物、植物や動物を最終的に分解できるのは菌類だけだと言うことで、木を育て、森を作り、役目を終えた生物をキノコが分解する事で自然界のサイクルは回るのだそうです。
 キノコは木と大きな関わりを持っていて、生態や自然の中での役割の違いなどによって腐生菌と菌根菌の2種類に大きく分けられて、養分のやり取りをする菌根菌と枯れた木を腐らせて植物の栄養として土へ戻す役割を果たしている腐生菌の説明がありました。木と菌糸は土の中で互いに栄養のやり取りをする複雑な共生関係を持っているのですね。

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 また、キノコの寿命は一日から二週間程度だそうで、ここでも見られた⑨ ヒメヒガサヒトヨタケのように非常に短くて一夜で消えるのもあれば、数十年も生きるサルノコシカケもあるそうです。
 豆知識としてマイタケにはタンパク質分解酵素が含まれているため、すき焼きに加えると高価でないお肉でも柔らかくなり(聞き逃せません!)、生のまま茶碗蒸しに入れると卵のたんぱく質が分解されるため固まらなくなると言う話はとてもためになりました。
  シロハツモドキは地上に出てから傘が開くのではなく、地中で開くので土や落ち葉などが乗っかっていることで見分けがつく。
  柄の表面は白色で、上部に白色膜質のツバが、基部には袋状の大型で白色のツボを備えるテングタケ。このツバは、胞子が成長するまで膜を張って、胞子が飛んでいく時に破れる。
  アイタケはカサ表面の色は青みがかった緑色が特徴。ここでは小さな幼菌から老菌が混在している場所がありました。同心円状にあるこのキノコのすべての一生です。精一杯生きているキノコの時間を見ることが出来ました。
  イグチ科のオオコゲチャイグチは巨大ビッグサイズでカサは30cm×27cm位でこのサイズはめったにない。
  アメリカウラベニイロガワリは、ナイフで半分に切ると一瞬で色が赤くなった。
  半円形のコフキサルノコシカケは、雨が降っているわけでもないのに、表面から多数の水滴を付けていました。この水滴は、木の水分を調整して、過剰な水分を排出しているのだと言う説明にキノコと言う生き物の不思議さに感動しました。
  石の隙間に少しだけ見えているクモタケの地下部分を注意深く掘ると、キシノウエトタテグモなどに寄生する真っ白になったクモの遺体からキノコが生えていました。注意深く岡本さんが土を落として、水で洗うと白い菌糸に包まれたクモが出てきました。

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(写真はクリックで大きく表示されます)
 公園内の東屋で昼食後、採取してきたキノコの同定とその説明がありました。観察できたきのこ種は「ベニタケ科(12種)、イグチ科(7種)、テングタケ科(6種)」を中心に、合計42種。この中には「ヘビキノコモドキ」、「アンズタケ」なども入っています。

 最初に土佐さんからキノコが自然界の中でどのような役目を担っているのかを説明されましたが、こういった身近なキノコの勉強をすることは植物の勉強をしている私達にとって必要なことだと締めくくられました。私は何よりもキノコの不思議な生き方にとても感動していました。(文/大)

8月~10月の行事予定 (8/3 追記有)

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予定表はクリックで大きく表示されます

雨天決行以外の屋外行事について、前日17時発表の気象庁の天気予報で、
 該当地域の行事当日の午前中の降水確率が60%以上の場合、中止です。
 詳しくは当クラブの概要紹介を参照願います。


研修会 7月4日(火)「季節の植物観察」の報告

 夕方のニュースでこの日の京都が関西初の猛暑日を観測したと知りました。36.5℃。しかし観察会が始まった午前10時は梅雨時のジメジメ感はなく、快晴でカラッとしたお天気でした。参加者は会員19名、講座生5名の計24名。講師は大川内さんと高橋さん。2班に分かれて始まりました。高橋さんの班に同行します。

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 まず、北山門を入ってすぐのところに置かれているキキョウの雄しべと雌しべの観察からです。花がきれいだなと通りすがりに見ていくのと違って、雄しべと雌しべの様子をよく見ると違いが見えてきます。そこから雄性先熟の話に入りました。講座生の方はスケッチをされています。次は横にあるズッキーニに目を向けます。野菜の花はなかなか見ることがありません。こちらは雌花と雄花に分かれていました。
 トケイソウの花を見、ハアザミ(アカンサス・モリス)に移動。葉の大きな植物です。ギリシャ建築のレリーフにも登場しますが、イギリスのテキスタイルデザイナーのウィリアム・モリスが壁紙やテキスタイルにこの葉をよく使ったので広く知られるようになったそうです。この葉をデザインした布地を見せてもらいより興味がわきました。そこから梅林に移動。木の根元に3日前まで群生していたイモカタバミを見に行きました。きれいに刈り取られていましたが一株残っていました。イモの表現のもとになった塊茎を用意してもらってイモカタバミの名を実感しました。

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 シナアブラギリムラサキカタバミを見て、生態園の入り口に移動。日本の山野草を植えている生態園は山野草好きな方にはとても人気のある場所です。入ってすぐのところに咲いていたユリの花から日本のユリの説明を受けました。園内のいろいろなところで栽培されている園芸品種のユリとは少し趣が違います。次に秋の七草の覚え方を教えてもらいました。「お好きな服は?」オミナエシ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、クズ、ハギ。覚えられたかな?
 ツクバネカンガレイと観察し、ノグルミへ。ノグルミは高い所に実をつけるので、普通は直接目で見ることは難しいのですが、低い位置から出ている枝に実が一個ついていてしっかり観察できました。雄花の咲いている時の写真も見せてもらってよくわかりました。
 ユキミバナが広く生えているところに来ました。雪を見る頃まで咲き続けることから名付けられたもの。よく似たスズムシバナは1993年まで混同されていたとか。ランナーを出しているかどうかが見分けのコツだそうです。コンテリクラマゴケ。コケと名がついているが、シダ植物。表面が青く光っているような独特な色合いをしています。そこからハンゲショウへ移動。横にあるネコノチチの幼木でコクサギ型葉序の説明を受けます。ハナイカダが葉の真ん中に一個の黒い実を付けています。大型のカラスビシャクとも言えるオオハンゲ。教えてもらわないと通り過ぎてしまったかもしれないコクランマツムラソウハグロソウ。皆さん、デジカメで写真に収めて講師についていきます。

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(写真はクリックで大きく表示されます)
 芝生広場の西側に移動します。いつもは幼稚園児などで賑わう場所ですが、誰もいません。大人の方達がテーブルでゆっくりされています。ザクロセイヨウニンジンボクは匂いが素敵で、ハーブとしても利用されていると。まだ少し時間があったので、牧野富太郎先生が横倉山で見つけたところからヨコグラノキと名付けられた樹木を見に行きました。その近くの政宗のモッコクも観察。伊達家にゆかりの植物です。他の植物との違いを教えてもらったので次回からはシャリンバイと見間違えないと思います。シャリンバイ:葉の裏側に独特な側脈あり。モッコク:ほとんど側脈は見えない。最後はハリモミ。いつもはあまり目にしなかった針葉樹。硬い実の形が鳩時計の重りの形によく似ているでしょに納得。

 12時半、森カフェ横の木の下に集まりました。最後のあいさつが終わった時に、滋賀県在住の方より、白花のカラスノエンドウの種の提供がありました。どんな花なのでしょうか。皆さんと一緒に一袋もらいました。   (文/海老原)

「京とおうみ自然文化クラブ」夏季公開講座のご案内(要申込み、定員制限あり)

 既に会員の皆様には先行して一斉メールにて案内済みですが、改めて一般募集を行っています。7月3日現在50名の申し込みですが、まだ若干名余裕がございますので、再度ご案内いたします。当クラブ会員外の一般の方も申し込み可能(参加費300円)です。ご興味のあるご友人、ご家族の参加歓迎します。

1) 日 時:8月1日() 受付13:30~:14:00開始~15:30

2) 河原町五条下がる:「ひと・まち交流館」3F5会議室

3) テーマ:世界最古のオーケストラ 雅楽の世界

      雅楽協議会 代表 鈴木治夫先生
            (元東京芸術大学講師 鈴木雅楽工房 )
               

※ 1946年東京都出身、現在、西東京市で「鈴木雅楽工房」を主宰。高校生の頃より趣味で雅楽器の龍笛を演奏、その後精密機器メーカーの会社員時代に宮内庁楽部で鳳笙を担っていた父の知人に勧められ、27歳を機に笙職人の道に進む。当時、雅楽器は職人の分業制で作られており、各工程を修業のうえ独立。その後、40年に亘り、鳳笙の全工程を一人で製作すると共に東京芸術大学での指導にも就く。2005年、雅楽の維持・発展・継承、及び研究・保存等に関する機関として雅楽協議会の設立に参画。その後代表者として季刊情報誌「雅楽だより」の編集責任者も務め現在に至る。2021年、篳篥の蘆舌に使用するヨシ(淀川の上牧・鵜殿(高槻市)のヨシ)が、つる草の繁茂などにより全滅との報を受け、「このままでは雅楽が廃れてしまう。雅楽の伝承を」と呼びかけ、篳篥の蘆舌用ヨシの再生に向け「つる草抜き」プロジェクトを立ち上げ、募金を募り2022年から活動開始。春先のヨシ原焼き以降、秋まで隔週で高槻に宿泊しプロジェクトを指揮している。この活動は「SDGs岩佐賞」の芸術の部で受賞、328日の朝日新聞紙上で発表された。今年は篳篥用「陸ヨシ」の生育地を7,000㎡に拡大し再生に取り組んでおられます。 

※ 講演テーマは、雅楽が一般的なイメージとして、古代の音楽で、厳格な宗教的な儀礼に演じられる縁遠い印象があり敬遠されています。しかし、改めて、大陸、朝鮮半島から日本に至った雅楽の原型等の歴史、独特の異質の調和を奏でる笙、篳篥、竜笛などの雅楽器、また、雅楽を構成する管絃、舞楽等についてのお話と楽器の実演などです。なお、1128日に計画されています、認定NPO法人「シニア自然大学校」設立30周年記念講演会に雅楽師、東儀秀樹氏をお招きしますが、事前に雅楽についての知見を得るのも参考になります。 

4)参加申し込み期限:7月15日(金)
   電子メールで事務局担当までご連絡願います。
    【連絡先:「京とおうみ自然文化クラブ」事務局・行事主担当】 
       赤對(シャクツイ) 一雄  締め切りました(7月16日追記)

5)参加費:
   当クラブ会員の方は無料
   会員外の一般参加の方、当日受付で300円のお支払いをお願いします