梅雨明けも間近と思われる曇天の中で、瀬田公園で行われた「キノコ観察会」には会員18名、一般3名が参加されました。講師は会員の土佐さんと岡本さん、海老原さんに菌類研究会から木村哲子さんに来ていただきました。
はじめに土佐さんがキノコを採取するには公園事務所から許可をもらって、腕章をつけていないと出来ないという話と熱中症に気を付けてと言う注意を受けてから出発しました。
すぐにベニタケ科の① カワリハツが見つかりました。カサ表面の色は白っぽかったですが、ピンクが混じったのから赤紫色まで様々なタイプがあるようで、シイ科の樹木がある所では数が多いそうです。ここでキノコが自然界の中でどのような役目を担っているのか説明がありました。すべての生物、植物や動物を最終的に分解できるのは菌類だけだと言うことで、木を育て、森を作り、役目を終えた生物をキノコが分解する事で自然界のサイクルは回るのだそうです。
キノコは木と大きな関わりを持っていて、生態や自然の中での役割の違いなどによって腐生菌と菌根菌の2種類に大きく分けられて、養分のやり取りをする菌根菌と枯れた木を腐らせて植物の栄養として土へ戻す役割を果たしている腐生菌の説明がありました。木と菌糸は土の中で互いに栄養のやり取りをする複雑な共生関係を持っているのですね。
豆知識としてマイタケにはタンパク質分解酵素が含まれているため、すき焼きに加えると高価でないお肉でも柔らかくなり(聞き逃せません!)、生のまま茶碗蒸しに入れると卵のたんぱく質が分解されるため固まらなくなると言う話はとてもためになりました。
② シロハツモドキは地上に出てから傘が開くのではなく、地中で開くので土や落ち葉などが乗っかっていることで見分けがつく。
③ 柄の表面は白色で、上部に白色膜質のツバが、基部には袋状の大型で白色のツボを備えるテングタケ。このツバは、胞子が成長するまで膜を張って、胞子が飛んでいく時に破れる。
④ アイタケはカサ表面の色は青みがかった緑色が特徴。ここでは小さな幼菌から老菌が混在している場所がありました。同心円状にあるこのキノコのすべての一生です。精一杯生きているキノコの時間を見ることが出来ました。
⑤ イグチ科のオオコゲチャイグチは巨大ビッグサイズでカサは30cm×27cm位でこのサイズはめったにない。
⑥ アメリカウラベニイロガワリは、ナイフで半分に切ると一瞬で色が赤くなった。
⑦ 半円形のコフキサルノコシカケは、雨が降っているわけでもないのに、表面から多数の水滴を付けていました。この水滴は、木の水分を調整して、過剰な水分を排出しているのだと言う説明にキノコと言う生き物の不思議さに感動しました。
⑧ 石の隙間に少しだけ見えているクモタケの地下部分を注意深く掘ると、キシノウエトタテグモなどに寄生する真っ白になったクモの遺体からキノコが生えていました。注意深く岡本さんが土を落として、水で洗うと白い菌糸に包まれたクモが出てきました。
最初に土佐さんからキノコが自然界の中でどのような役目を担っているのかを説明されましたが、こういった身近なキノコの勉強をすることは植物の勉強をしている私達にとって必要なことだと締めくくられました。私は何よりもキノコの不思議な生き方にとても感動していました。(文/大)