梅雨真っ只中、雨が心配でしたが、終了まで、ずっと曇り空で過ごしやすかったです。会員15名、実習生2名の合計17名、天候の関係なのかいつもより少なめの出席で、齊藤さん、澤田(章)さん案内の2班に分かれてのスタートでした。以下は澤田さんの班の報告です。実習生の方が2名おられたので、その方々を中心に研修しました。
・トケイソウ
今日は、まだツボミが多く、咲きかけている花が一つ、しばらく見ていると徐々に花が開いてきました。一日花で、花弁とガクで10枚、おしべ・めしべが時計の秒針のようです。(昼過ぎには、たくさんの花が開いていました。)
・キキョウ
きれいな青紫色、秋の七草の一つです。自家受粉をさけるための一つの工夫としての雄性先熟の花です。おしべが先に成熟し、めしべが成熟するころには、おしべの花粉がありません。
・シナノキ
淡黄色の小花をいっぱいつけています。かすかに甘い香りがするような。後で観察するヘラノキ、ボダイジュと同じアオイ科の植物です。違いを観察しました。葉脈の分岐部に褐色の毛があります。(澤田さん直筆の「シナノキの四季の絵」で説明がありました。)
・クマノミズキ
白い小さな花が満開です。ミズキ科で、ミズキとよく似ているが花の咲く時期がミズキの後です。小さな花は、花弁が4枚で、多くの蜜があり、昆虫がたくさん集まってきています。
・シナアブラギリ
葉の基部の蜜腺を観察しました。卵型の蜜腺葉。柄にピッタリとついていました。花も葉もそっくりなアブラギリの蜜腺は柄があり、見分けることができます。
葉が柏餅の柏の葉に似ているカシワバアジサイ、遠くからでも白いフワフワした花が目立つメラレウカ アルテルニフォリア(長い名前です。)も観察しました。
〈タケ・ササエリア〉
・キヌガサダケ
カサの内側から伸びた部分は、まるでレースのスカートをみたいです。主に竹林に発生することが多く、すごくきれいなキノコで「キノコの女王」とも呼ばれます。しかし、かなり臭いにおいがします。この匂いでハエを呼び寄せて、ハエに胞子を運んでもらいます。朝に出現して、昼には萎んでしまいます。見ることができて、よかったです。
・スエコザサ
5月の研修会でも観察しました今話題の牧野富太郎の奥様の名前に因んだスエコザサです。(特徴等については5月のブログに説明がありますので省きます。)奥様の名前をササにつけたのは、「地味、もっときれいな花に名前をつけてあげたらよかったのに~」との声もありました。
・カラスビシャク
乾燥させた根茎は半夏という名前で知られ、生薬に用いられます。根元にムカゴがついていました。
いろいろな鉢植えのアジサイが展示されていました。約2,000種類ものアジサイがあるそうです。ガクアジサイが原種です。江戸時代、アジサイは、ガクが4枚(死に通じる)。色が変わる(心変わり)。花が枯れても残る(幽霊みたい)と武士道精神からはずれるという理由で嫌われていたそうです。
・フジキ
背が高い木なので、見上げると、小さな白い花がいっぱい咲いていました。花びらが下にいっぱい落ちていました。だいたい5年に1回ぐらいしか花を咲かせないといわれていますが、植物園では、なぜか昨年も咲いていたそうです。しかし、花が咲くのは珍しいそうです。マメ科で、花は蝶型、葉は奇数羽状複葉の説明がありました。
木に巻き付いているイワガラミ(アジサイ科)、ネコノチチ(葉を枝の左右交互に2枚ずつ付けるコクサギ型葉序)等も観察しました。
〈生態園及びその周辺〉
・ヘラノキ、ボダイジュ
最初に観察したシナノキと同じアオイ科の仲間、花、葉等の違いを確認しました。
・ノグルミ
高木なので、普段見ることができないのですが、低い位置で、雄花序と雌花序が観察できました。風媒花なので花弁はありません。
・ホソバイヌビワ
イチジュクの仲間で、イヌビワより葉が細い品種です。花は、花嚢の中に咲き、花が終わって熟すと実になります。花嚢の中には、イヌビワコバチがいます。イヌビワにとって、イヌビワコバチは受粉に絶対必要な存在です。逆にイヌビワコバチにとってもイヌビワがないと絶滅してしまう存在です(共生関係)。イヌビワコバチのメスは、イヌビワの花嚢の中に卵を産み付け、子供はこの中で育ち、成長したオスはメスと交尾を果たすと外に出ることもなく、この中で死んでしまいます。だから、オスには、はじめから羽根がありません。メスは交尾のあと、外へと飛び立っていき、またイヌビワの花嚢の中に卵を産み付けます(外に1回も出ることができないオスが可哀想ですね。)
見上げるときれいな緑色の掌状複葉のトチノキ、開いていない葉がきれいに折りたたまれているのが透けて見えるユリノキ等を観察し、イチョウの実生及び植物の進化についての説明を聞き、バラ園の方に向かいました。
〈バラ園〉
・ヒマラヤスギ
バラ園中央には、りっぱなヒマラヤスギがそびえ立っています。大正6年(1917年)からあり、樹齢100年以上、植物園は、来年100年になるので、整地のころからあったみたいです。スギというが、マツ科の常緑高木の針葉樹です。澤田さん作成のヒマラヤスギの松ボックリの絵および解体したもので(凄い)、説明していただきました。
そろそろ、集合時間に近づいてきましたので、その場所に向かう途中、芝生の広場のトイレ付近のムクロジの花を観察しました。
実習生2名の方から「いろいろ植物を観察でき、大変勉強になった。今日のことは、今後の講座に活用していきたい。」との感想を述べられました。
これからもこの研修会を多くの実習生に受けてもらい、いろいろな植物に興味を持ってもらえたらいいなあ。と思いました。今月担当していただいた齊藤さん、澤田さんありがとうございました。 (文/A.N.)