京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2023年05月

例会 5月22日(月)「お茶の里・和束エリアを散策」の報告

 宇治茶の郷、和束町へ。日本において茶が広まった始まりは京都府宇治からと言われているが、荒茶生産ランキングでは、5位(1位静岡、2位鹿児島、3位三重、4位宮崎) 宇治茶と言われるものは、京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で京都府内業者が仕上加工した、京都府産50%以上の荒茶の事、和束では、東京ドーム120倍の耕地にて約260軒の茶農家にて和束茶(荒茶)を生産、出荷している。その数は、京都府生産量の半分弱を占める。同地は、昼夜の寒暖差が大きく朝に発生する霧が天然カーテンとなり繊細な茶葉を日差しから守り茶作りに適している。

 JR加茂駅10時集合、電車の本数も少なく30分前には参加者の約9割が集まり、一般参加者1名を含む29名となる。事前に下見をして頂いた澤田章夫さん,静谷さんのお陰でスムーズにバスにて「和束山の家」へ、バスも1時間に1本と少なく、我々29名と、海外からの観光客と思われる団体ですし詰め状態。
 バス停近くの「和束カフェ」前には、地元ボランティアガイド「和束茶源郷ガイドの会」の皆様(5名)が待機、簡単な説明と柔軟体操を済ませ、3班に分かれての散策開始。出発点から少し歩き山頂を見上げると小さな小屋が、「天空カフェ」と言って、和束カフェにてポット等一式を借り、素晴らしい景色を観ながらお茶を味わうことが出来る展望空間であるとの事、機会があれば是非再訪して下さい。

 好天に恵まれ汗ばむ気温の中、少し山道を上がった所の目の前に茶葉を覆った黒い布が、これは「かぶせ茶」栽培に用いられる寒冷紗と呼ばれるもので被覆栽培と言う栽培方法との説明を受ける。摘採前の茶葉の日光を遮ることで茶葉の中のテアリンがカテキンに変化しにくくなるため、テアニンが少ない旨味や甘みが強い茶葉が出来る。被覆期間は約2週間程度、碾茶(抹茶の原料)は3週間程度、被覆栽培は味だけでなく茶葉の色にもいい影響を与える。

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 茶畑を見ると大きなプロペラが目に付いた、これは防霧ファンと言ってお茶の樹から霧の害を防ぐ扇風機、最近はセンサーにより自動稼働する設備で茶づくりには欠かせない。
 茶園は、農家により異なるが立春から88夜前後に摘採する一番茶「新茶」、6/中旬から7/初に摘採する「二番茶」、秋に摘採する「秋番茶」等々、遠くに見える茶色の茶畑は、既に新茶の摘採が終わり年1回のみ摘採する畑である。
 被覆栽培中の茶葉を覗くと青々とした茶葉が綺麗に見える、また、「一芯二葉」の茶葉も写真に収める、お茶の木の枝は、先端に「芯」があり、そこから下へと葉がついている「芯」は、まだ葉が開いていない「芽」の状態の葉である。 

 その前に立ち寄った「安積(あさか)親王陵墓」から見える釜塚山の茶畑は、京都府景観資産登録第一号の茶畑景観の一つでもある。
 昼食後も茶畑を散策、途中にあるお茶工場からは甘いお茶の香りが漂ってくる、和束町の工場では、茎と葉に分離し、蒸し工程から乾燥工程まで荒茶を生産、宇治にある問屋へ出荷している。

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(写真はクリックで大きく表示されます)

 綺麗な茶畑を横目で見て次の目的地「磨崖仏」へ。和束川北岸の巨大な花崗岩を彫り込んで作られた弥勒磨崖仏は鎌倉時代後期1300年に像立され、この一帯では、「長井の弥勒さん」と呼ばれているようである。
 手前の河原をのぞき込むと「甌穴(おうけつ)」がいくつも見える。
 此処を最後に集合場所である「和束カフェ」に戻り、ご案内頂いたボランティアガイドさん達ともお別れし、帰りのバスの待ち時間、お土産を買う方、抹茶ソフトクリームを頬張る方、コンビニに冷たい飲み物を求める方と楽しく一日を過ごすことが出来ました。お疲れさまでした。  (文/T.SAWADA)


                                

研修会 5月16日(火)「季節の植物観察」の報告

 五月晴れの日、さわやかな新緑の植物園に集合。とは言え、昼頃には30℃近くまで気温が上昇し、夏の到来を感じさせる日となりました。参加者は29名(会員26名、実習生2名、一般1名)でした。5月のリーダーは、新堀さん、海老原さんで、中林さんの3人で、一班10名程度で観察を行いました。全体での観察は10時~12時半、午後からは希望者のみで少人数での観察と葵祭の見学を行いました。

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<新堀班の報告>
 いつものように北山門近くのワイルドガーデンからスタート。参加者の目を引いたのは、濃い紫色のサヤがぶら下がっているえんどう豆でした。ツタンカーメンのエンドウと呼ばれ、ツタンカーメンのお墓から出土したエンドウ豆の子孫です。花は上部の旗弁がピンク、下部の翼弁が赤紫の良く目立つ色です。ミツバチはこの花のどこに止まるのかと、花と虫の関係の説明がありました。参加者からは、この豆は食べられるの?と質問があり、同じく参加者が答えてくださいました。サヤは紫だが、中は緑の豆、ご飯と一緒に炊き時間をおくと赤飯のような色になる。味は?聞き忘れました。
 ギョリュウバイは、濃いピンクの小さな花。ニュージーランドが原産地で、現地のマオリ語では、この木をマヌカと呼んでいる。花の中に蜜がたくさんあり、蜜を求めてミツバチ達がやってくる。シロバナから採れたハチミツをマヌカハニーと呼び、抗菌作用などがあり高価なものとのこと。参加者にマヌカハニー入りの飴が配られました。
 続いては、竹林へ。お目当ては、朝ドラ『らんまん』でおなじみの牧野富太郎博士命名のスエコザサ。苦労をかけた妻寿衛子の亡き後、感謝の気持ちを込めて命名されました。アズマザサの変種で、仙台で発見されました。葉の片側が裏に巻き込み、ねじれたようになっている、葉の表面に長毛があるのが特徴です。これまでこの植物園でひっそりと存在してたこの笹が、朝ドラブームでにわかに注目されています。
 その隣にあるホウショウチクの枯れた竹に小さな穴が空いていて、運よくクマバチの出入りが確認できました。この蜂はタイワンタケクマバチだそうです。花の蜜や木くずで団子を作り幼虫の部屋を作り育ているそうです。台湾などから竹ぼうきや竹材と一緒に日本にやってきました。外来種なので、日本での蜂の生体系に影響がでるかと気になるところです。

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 ボタン・シャクヤク園では、2種類の違いを皆で観察しました。ボタンは木本、シャクヤクは草本。葉の形や光沢が違うなどそれぞれ観察されていました。
 その後は、生態園に入り、葵祭では平安装束にカツラの枝とフタバアオイを身にまとい巡行行列が行われるので、そのフタバアオイを観察しました。その他、ツクバネタラノキウドゴマキコクサギウマノスズクサコアジサイイワガラミオオハンゲハシドイなどの花やその香りを確かめました。

 最後の観察は、森のカフェ裏側にあるアイラトビカズラです。熊本県の山鹿市相良(アイラ)が生息地で、マメ科のつる性植物です。太い幹には紅紫色のブドウの房のような形状で堅く大きな花が無数に垂れ下がっています。ちょっと不気味な雰囲気です。受粉はオオコウモリが媒介者となるが、本州にはいないので人工授粉でないと結実しません。皆さん、落ちた花を開いて中をみたり、蜜を確かめたり舐めたり?しておられました。
 凡そ40種類の草花の観察をしました。新堀リーダーは、昆虫にも興味があり、主に植物と昆虫の共存や関係性を説明されました。興味深い観察会となりました。

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(写真はクリックで大きく表示されます)

 午後は、見頃の満開のバラ園で花の色や香りを楽しみました。本日は、ちょうど15日が荒天予報で順延になった京都三大祭りである葵祭の巡行行列の日。正門を出て北大路通りに出ると葵祭の巡行が観られるので、間近で巡行を楽しみました。でもとても暑かった!!そうです。午後の参加は総勢9名でした。   (文:やよい)


例会 4月27日(木)「京都一周トレイルを歩く(第3回)蹴上~大文字山~銀閣寺」の報告

 第3回京都トレイルは蹴上駅に10時集合、34名の参加。案内は平井さんと讃良さんの両名にお願いする。快晴で清々しいなか朝礼は赤煉瓦造りの構造物で「ねじりマンポ」と呼ばれるトンネルをくぐり、すこし歩いた広場で行う。

 昨日の雨で道が滑り易いので注意等の後ゆっくりとインクラインを眺めながら、日向(ひむかい)大神宮へ向かう。道の両側はシャガが満開で見事。この神宮は西の伊勢神宮と呼ばれ社(やしろ)の屋根に設けられた鰹木(かつおぎ)が8本ある。ちなみに伊勢神宮は10本、橿原神社は4本だと教えていただく。ネットで調べると平安時代には大社が8本、中社が6本、小社が4本だったが今は神社により本数が異なるらしい。
 天の岩戸をくぐり境内を出るといよいよ登り道が続く。数年前の台風によるのか倒木がめだつ。足元に白い小さな花が多数落ちている。見上げるとクロバイが黒っぽい濃い緑の葉に白い総状花序の花を多数つけており、緑の中でよく目立つ。途中展望が良い場所で休憩をとり再びゆっくりと登り道を歩く。近く遠くにウグイスの鳴き声が・・・。今は恋の季節か?

京都一周トレイル3-1
 12時20分に大文字山に到着しここで昼食。ここからの眺望も素晴らしい。京都タワ-や東本願寺などまた左のほうには山科盆地が見下ろせた。
 13時に出発する、急な下り道、足元注意で降りる。30分ほどで大文字火床に着く、火床を目の前にして感激する。またここからの眺望も素晴らしい。左から京都御苑、糺の森、京都植物園、遠くに上賀茂神社、手前に吉田山が確認できた。

京都一周トレイル3-2
(写真はクリックで大きく表示されます)
 ヒノキ、アベマキ、カマツカの木々を見ながら更に山を降りる、少々ひざにくるがもう少しの距離だ。14時過ぎに銀閣寺近くの広場に到着しここで終礼。天候に恵まれ良い山歩きとなりました。案内の平井さん、讃良さん有難うございました。  (文/澤田章夫)