京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2023年04月

研修会 4月19日(水)「季節の植物観察」の報告

 4月の研修会は19日に実施しました。参加者は会員27名と一般参加1名の計28名です。新堀と岡さんの2班に分かれて案内いたしました。

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 まず新緑の樹木を見渡した。高木のエノキに巻き付き竜のように登っているシラフジを眺める。何故フジは早く成長するのか?自由に考えていただいた。

 クマバチのホバリングを説明し、枯れ枝に穴を開けて作った長屋状の巣の写真を見ていただいた。今日は特に昆虫を誘う花の工夫に重きをおいた。下を向く釣り鐘状の花弁の先、何故反り返っているのか?脚の力の強いハナバチの仲間に来てほしく、彼らの足掛かりになるよう反り返る。

 キノコバエを匂いで誘うフタバアオイ。 

 クマガイソウ、袋状の不思議な花弁の中は蜜が無くだまされた虫は雄しべ、雌しべへ行く道しか通れない。

 ウラシマソウの竹ざおを切断し、実験した人の話。テンナンショウの仲間は中に入った虫が、上から脱出出来ないように仕掛けあり。栄養状態により雌雄交換。

 猛毒のナベワリは舐めると舌が割れ、花も葉も個性的。

 エビネ、ランとラン菌との不思議な関係、共生か?なかには自立出来るようになればラン菌を食べるランもいるそうだ。

 ハナイカダが葉の上に花を乗せる理由、利点は?自由に考えて頂いた。

 白いツツジのアマミセイシカ(奄美聖紫花)雄しべの曲りぐあいは、蝶の腹につくよう。蜜標のある花弁のみ奥に蜜を蓄えた溝あり。落ちた花びらを分解して調べる。

 ニリンソウはデ-トスポット?小さな甲虫が好むそうでルリマルノミハムシを何度か見た。可能な限り落ちた花や果実を自分で分解し観察する事は大切と思う。   (文/新堀)

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(写真はクリックで大きく表示されます)

「第20回総会と渉成園散策」の報告

 当クラブの新年度(令和5年・2023年度)の総会が「ひと・まち交流館」3階第5会議室で10:30から12:00にかけて行われました。出席者は新会員8名を含む31名で、委任状を合わせ総会は成立しました。

  総会は、大川内さんを司会に、議長に澤田章夫さんを選出し議事を進めました。讃良会長の挨拶の後、令和4年度の行事報告について、事務局の赤對さんから報告があり、1件のみ雨天中止となったが、29件の行事に、延べ744名の参加があった事。1行事当たりの参加者が平均25.7名で、コロナ前に比べ、約5名増となったが、1回も参加しなかった会員が115名中24名であったのが課題と報告されました。次いで、中林さんから会計報告が行われ、吉田さんの監査報告と承認が行われました。その後、讃良会長から15名の役員紹介と、クラブの活動方針が示されました。今年度の会員は、新会員22名、退会者9名で計128名となり、内訳は男性62名、女性66名、居住府県別では、京滋33名、大阪80名、他15名となりました。(なお、総会後、新たに大阪・女性2名の追加加入の申込みがあり新会員24名、計130名となる見込み)

 また、今年度の行事計画案、並びに、予算案が示され、質疑応答で、会員からは、予算に占める予備費が多い点について質問が出されました。会計担当の中林さんから、基本的には3年に亘ったコロナ禍で、行事実施が減少し経費が残った。しかし、4月以降、交通費の値上げや、会議室の有料化などの諸経費の増加が予想される中、本来は年会費の値上げの検討もされたが、当面は予備費を担保に年会費の据え置き維持となった旨の回答がされました。加えて、シニア自然大学校副代表の立場で、新谷さんから11月28日に大学校創設30周年記念講演会に雅楽師の東儀秀樹氏のご講演が決まり、鵜殿ヨシ原での当クラブの有志ボランティアによる保全活動ルートからの東儀氏招聘への協力に対し謝意が示されました。

  いっぽう、クラブの存立意義の一つとして小学生対象の理科の学習支援は、当面は、滋賀の1校に絞り、講師と経費面での余力が付けば、京都でも1校は実施したいと報告がありました。これに関して、志津南小の教職OBの岡本さんから、昨秋の「りょうぶの道」観察会の参加児童の感想文が2例紹介されました。講師の「森の先生」が笑顔をたやさず、説明がやさしくて分かり易かった事や、植物がそれぞれの特徴である色や粘り等を「武器」にして自然の中で戦っている事を知れてうれしかった、などでした。また、会場では広報ブログ担当の井上さんが1年間のクラブの活動状況をまとめたブログ集が回覧されました。

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  議事終了後、高橋さんから、30年近く掛かった、京都府立植物園での世界一高い花「ショクダイオオコンニャク」の開花をやさしく説明する「紙芝居」と、実際の一晩をかけた開花を45秒に短縮した動画の紹介がありました。開花時、湯気(39.2℃)が立ち昇って行く様が不思議でした。また、当クラブ員が講師を務めた1月17日実施の本科火曜コ-ス講座「京都御苑の巨木・珍木巡り」のスライドショーによる紹介もありました。

 (以下、渉成園=しょうせいえん散策の報告)

 昼食後、総会後の午後は自由参加で「渉成園散策」を案内いたしましたところ20名の参加となりました。総会会場より徒歩で10分ほどの場所です。その前に通り道の「文子=あやこ天満宮」に立ち寄りました。ここは学問の神様、菅原道真公の乳母・多治比文子が、邸宅に小さな祠を立てて道真公をお祀りしたのが始まりで天神信仰発祥の神社です、皆さん神殿に手を合わす。

 「渉成園」は東本願寺の飛地境内地の庭園、「池泉式回遊式庭園」であり、今はサクラも終わりモミジの新緑とよく見ると小さな花が咲いていた。ゆっくりと散策する、立ち止まっての観察で進みが?それにしても「渉成園」別名「枳殻邸=きこくてい」の名が付いた、カラタチはどこにあったのかと思う。カラタチは実は入口近くにありました、小さな地味な白い花を観察し「総会」の1日を終えました。
(文 / 事務局:赤對、澤田章夫)

5月22日(月)実施予定「お茶の里 和束エリアの散策」集合時刻変更のお知らせ

 5月22日(月)実施予定の例会「お茶の里 和束エリアの散策」について

 当初の案内では、JR関西線加茂駅の集合時刻を10時30分とし、10時41分発のバスに乗車の予定でしたが、バスのダイヤが変更になっており、集合時刻を10時00分に変更します

   集合時刻 訂正前 10時30分 ➞ 訂正後 10時00分
   バス乗車 訂正前 10時41分 ➞ 訂正後 10時10分

 当初の案内より集合時刻が30分早くなっています。参加予定の方は、お間違いのないよう、お願いいたします。

4月~6月の行事予定  (例会 5月22日 集合時間訂正有!)

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予定表はクリックで大きく表示されます

★雨天決行以外の屋外行事について、前日17時発表の気象庁の天気予報で、
 該当地域の行事当日の午前中の降水確率が60%以上の場合、中止です。
 詳しくは当クラブの概要紹介を参照願います。


研修会 3月22日(水)「季節の植物観察」の報告

 3月とは思えないような暑い日でした。
 今日は、WBC決勝戦の放映があったにもかかわらず、31名(会員19名、実習生9名、一般3名)の方が参加していただけました。案内の講師は、大川内さん、新堀さん、高橋さんで3班に分かれ、スタートしました。私は、高橋さんの班に参加させていただきました。
 高橋さんから「京都は、20日にソメイヨシノの開花発表があり、植物園の花も一斉に咲きだしました。今日は、春の花、香りを楽しんでください。」とのお話があり、今日は、たくさんの春の花、匂いを楽しもう。」とひとり心の中で宣言しました。

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【香りを楽しんだ植物】
トウカイザクラ
 桜の花は、あまり匂いがないですが、トウカイザクラは、ほのかな芳香があります。確かにほのかにいい匂いがしたが、もう散り始めなのが残念でした。
シキミ
 黄色っぽい白い花が咲いていました。花もいい香りがしましたが、葉っぱもいい香りでした。実は中華料理に使われる香辛料の八角に似ていて、有毒だそうです。葉脈は、はっきりしないのが特徴。
ミツマタ
 下を向いてハチの巣のような独特な形の黄色い花が満開でした。とっても可愛い花です。甘い香りがしました。名前の通り、枝が、三つに分かれるのが特徴です。樹皮は高級和紙の原料として利用され、一万円札にも使われているそうです。
ヒサカキ
 ミツマタのいい香りがしていたのですが、風向きによって、臭い匂いがしてきたので、振り返ると、ヒサカキの花が鈴なりに咲いていました。花は小さくてかわいいのに匂いは臭い。近づかなくても匂ってきます。
ヤマコウバシ
 名前は、枝等を折るとよい香りがするからです。葉を揉んだり、枝を折ると芳香がする。落ち葉を揉んでみると少し香ばしかった。冬になっても葉が落ちないのが特徴で受験のお守り(落ちない)として使われるそうです。
ウグイスカグラ
 小さなピンクのかわいい花が咲いており、かすかにいい香りがしました
ゴモジュ
 葉を揉むと胡麻のような匂いがする。名前もこのことが由来しています。
・ハクモクレン・コブシ
 どちらも香水のようないい香りがする。モクレン科の樹木。違いは、ハクモクレンの花弁は9枚(3枚のガクを含む)、コブシは6枚。モクレン科の花弁は3の倍数だそうです。ハクモクレンの花の方がコブシより大きく、少し早く咲く、ハクモクレンは、開花後に葉が見られるが、コブシは、花と葉が同時に見られる等です。
・ジンチョウゲ
 いい香りがします。春のジンチョウゲ、夏のクチナシ、秋のキンモクセイが日本の三大香木といわれます。
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【他に観察した植物】
 ガクが花びらのように見えるクリスマスローズ、アブラナ科のムラサキハナナ、シクラメンの原種(シクラメンコウムについて)、スノーフレークハチジョウキブシ、シロバナゲンカイツツジ、フタバアオイ、ヒカゲノツツジ、カタクリ、フタリシズカ、ニリンソウ、カテンソウ、モミジチャルメルソウ、ショウジョウバカマ、ツバキ、ヒトリシズカ、コゴメグサ、オドリコソウ、セツブンソウ、フキノトウ、タチツボスミレ、アブラチャン、ダンコウバイ、クロキ等々
【サクラ】
オカメザクラ
 イギリスの桜研究家イングラムが、カンヒザクラとマメザクラを交配し作出しました。美人の姿に重ねて「おかめ」(昔の日本美人の代名詞)と名付けたらしいです。
アキヒメザクラ(彬姫桜)
 第16代佐野藤右衛門により作出されました。門外不出です
大枝枝垂れ桜
 今回の研修会の締めくくりにふさわしい見事な枝垂れ桜です。現在円山公園にある「祇園枝垂れ桜」の姪っ子で、第15代佐野藤右衛門による植栽らしいです。

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 (写真はクリックで大きく表示されます)
 今回の研修会は、多くの春の花が咲き誇っており、見どころ満載でした。観察途中にWBCでの日本優勝という朗報も入り、また、風が吹けば、桜の花びらが舞って、春を満喫することができました。実習生等の方々からも「よかった」との旨の感想が多々ありました。案内していただいた講師の方々ありがとうございました。やっぱり、春の植物園は最高でした。   (文/A.N.)