京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2022年10月

研修会 10月19日(水)「季節の植物観察」の報告

 秋が一歩進んだような冷え込んだ朝でした。でも、集合時間には日差しも届いて上着を一枚脱ぎたいような気温まで上がりました。朝礼で今日の実習生4人の方の紹介の後、去年デビューされた3人の講師の海老原さん、高橋さん、中林さんをリーダーに3班に分かれてスタートしました。参加人数は会員16名に、インプリ科など一般6名の計26人でした。 (1230分に正門前で解散)

 高橋さんの班:ヤブミョウガのタネの面白さのお話しです。ミョウガに似た葉を広げて青光りする実をつけていますが、この実の中は20~30個のタネが立体パズルのように詰まっているということです。一つ果皮をはがしてみると、コンクリートブロックのようなタネがぎっしりありました。
 次にブナの実の観察です。他のブナ科の実とはちょっと違った形をしていて、三角形のような殻斗にすっぽり包まれているそうです。木の上の方にあるのを確認しましたが、地面には落ちていません。実際なかなか見ることが出来ないのですが、用意されていた不思議なイガのような形をした堅果を見せてもらいました。イヌブナとの違いについても教えて頂きました。アベマキとクヌギの違いについても、ちょうど観察しやすい所で葉の裏の色や樹皮を比べてみました。両種ともコナラ属の落葉高木です。アベマキの方がコルク層が厚くて、押すと弾力があると言われましたが、はっきりわかりませんでした。次に葉の表と裏を見ると、表はほとんど違いがなく、少しクヌギの方がつるつるした感触で、裏の色はアベマキが白っぽい緑色のように思いました。落ちていた殻斗も見た目には違いはないように見えました。たくさん観察して見分けられるようになりたいですね。

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海老原さんの班;私は一番秋を感じる花がコスモスです。この北山門前のプランターに植えられたコスモスは、今日の講師の海老原さんや高橋さん達植物園でボランティア活動をされている方々が7月に播種されて育てたそうですが、ちょうど見頃を迎えていました。コスモスの花のつくりは、ひとつに見える部分はたくさんの小さい花の集まりで、2種類の花の舌状花(虫を呼び寄せる広告塔の役割)と筒状花(受粉して果実を作る)があると言う説明がありました。
 そして今日のテーマは「実りの秋のドングリ」と言う事で、東屋に陣取ってお話を聞きました。ブナ科で硬い殻を持っていて、日本には22種類のドングリがあること、縄文時代から食していたことなどの詳しいお話でした。炒ったスダジイを持ってきてくださったので私たちの班は大感激。甘みがあって、香ばしくておいしかったです。また、ヤブミョウガのタネを、みんなでルーペで見ると、1mmくらいのタネの真ん中にくぼみがあり、その中央に突起があって不思議なミクロの造形でした。

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 中林さんの班:アジサイ園の中でカジノキの実の説明をされていました。イチゴのような朱赤に熟した丸い実がぶら下がっていました。いかにも甘くて美味しそうです。葉っぱは触るとゴワゴワした感じです。古代から七夕飾りの短冊の替わりに使われて、神にささげる神木で神社などに植えられたそうです。カンレンボクは、まるでミニバナナが集まっているような実をつけていました。面白い名前が付いたネコノチチも色が緑から黄色、橙、赤と変えていく段階が見られました。
 イチイガシとスダジイの説明を受けて、最後に正門近くにあるシリブカガシに案内。ドングリの底が凹んでいる事から名前がついたことやふんわりした花がまだ残っていて、花と実を同時に見られました。深まっていく秋を感じた観察会でした。

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 今回のメインテーマは「ドングリ」でしたが、正門前で解散の挨拶の時に、実習生の方からもいろいろ教えてもらって植物に関心が出てきたとか、新しい発見があったという感想をいただきました。   (文/大)

例会 10月11日(火)「京の大仏、ゆかりの地を巡る」の報告

 前日までのぐずついたお天気が一転晴れ渡りましたが少し寒さを感じる朝でした。京阪七条に集まったのは26名と一般1名の計27名。講師は、前回の「東寺周辺の散策」に続き山下さんです。

 京阪七条の鴨川べりからスタートし、京阪電車の地下化に伴い暗渠化された琵琶湖疎水の上を歩き、やがて、正面通を東へ歩むと小高い「耳塚」が見えてきます。秀吉の朝鮮出兵は、現代から見れば明らかな侵略戦争で、むごい事ですが、せめてもの塚を造って「供養」した事が救いで、今は歴史の証人となって佇んでいます。ここから方広寺の大仏殿跡地に向かいますが、途中、正面橋からつづく参道跡で「大仏餅」の名が今も残っていました。

七条
京阪七条駅
 方広寺では、国内最大の重さを誇る鐘が出迎えてくれます。重さは、なんと日本一の82.7tですが、何といっても、鐘の銘文中の「国家安康 君臣豊楽」の8文字に家康が難癖を付け、やがて豊臣家滅亡に至らせたいわく付きの鐘です。尤も、皆さんの関心は「どうやってこの重い鐘を吊るしたのか?」でした。また、方広寺の大仏は、何度か作り替えられましたが、多くが「木造」であったのには意外で驚きました。それに、地震で壊れた初代大仏に、秀吉が「おのれの身も守れぬのか」と眉間に矢を放った、とのお話にはびっくりでした。

 豊国神社の秀吉像前で全員記念撮影を行い、大和大路を南に下り、私の30年来のお気に入りの餡子屋「味不二庵」の手前を東に折れ「太閤塀」を眺めます。ここでは秀吉の家紋の変遷を知りました。なんでも、農民の出で家紋が無く自分で勝手に作り、信長に大目玉を喰らったのは秀吉らしいですね。

 そして今度は北に向かい、左手に「三十三間堂」を見ながら七条通りを右折、東大路を渡り、豊国廟参道に至ります。この辺りは、昔の京都の墓域で「鳥辺野」と言い、ここのほか「化野」「蓮台野」などがあり、普通の庶民は風葬が一般的であったとのお話です。本来のプランでは500段の階段を登って、秀吉の遺言での墓所、阿弥陀が峰から京都を一望俯瞰する予定でしたが、シニアの足腰に配慮し今回は見送りました。また、改築時に発掘された秀吉の棺の甕の中で、ミイラ化した秀吉が座っている様子を描いたイラストを見て、秀吉が好きだった京都の街を永遠に眺めているんだ、と思いました。それに、京都の人たちも秀吉贔屓だったようです。いっぽう、ふもとの「女坂」を走る京都女子大の送迎バスの「Princess Line」のロゴの入ったおしゃれなバスは、この辺りの墓域のイメージを払拭するような明るく生き生きして印象的でした。

 少し戻って、東大路を南に下り、普段は、表しか通らない「智積院」の内側の参道を歩き、再び東大路に出て、JR線を下に見ながら近くの公園で三々五々のお弁当タイム。雨でなくてラッキーでした。

行程写真
 昼食後、暫く歩いて「新熊野神社」に着きます。ここは1160年、後白河上皇が平清盛の援助を得て、熊野から勧請した神社で、梛(ナギ)の木がご神木です。また、上皇のお手植えの大楠の木が樹齢900年を誇って、今も枝を張っています。
 この後、最後の目的地の東福寺に向かいます。初めて知ったのですが東福寺は、奈良の東大寺の「東」と、興福寺の「福」を取って付けられたとの事、意外に安易なのに驚きです。長い参道を歩いて、青もみじの下を清らかに流れる清流「洗玉澗」に掛かる「通天橋」を遠望し、蓮池越しにそびえる2階建ての「三門」や、公衆トイレのような「東司」などが見れる興味深いコースです。また、お茶の木が植えられており、お茶の日本渡来が禅宗によるものだと思い出されました。それに、ずっと奥まで歩くと、一番上流にある「偃月橋」が静かに待ってくれていました。穴場のようです。

 東福寺で解散後、JRの事故で、京阪も不通になり、JR組は京都駅まで歩くなどでやや歩き疲れましたが、爽やかで乾いた心地よい風の中の1日でした。山下さん、有難うございました。  (文/事務局KS




研修会 9月26日(月)「季節の植物観察」の報告

 お彼岸も過ぎたのに、京都は30度を超える真夏日になり、暑い中の研修会になりました。参加者は、18名(会員17名、実習生1名)、9名ずつ2チームに分かれ、比較的少人数で充実した研修会でした。リーダーは、讃良さん、華崎さんのお二人、秋の樹木、草花等を観察しました。

 まずは華崎さんチーム、ワイルドガーデン及び周辺で、シナノキの仲間であるボダイジュ、ヘラノキ、シナノキの葉、実等を観察し、特徴などをわかりやすく説明していただきました。これらの樹木には、もう茶色で球形の実が苞にぶら下がっていました。実は、苞がプロペラノのようにクルクルと回って風に乗って遠くに飛ばされます。遠くに飛ばされるのは、自家受粉を避けるためです。
 昨年のワイルドガーデンのシナノキは、元気がなく、実もほとんどついていなかったのですが、今年の春には、たくさんの花を咲かせていたので、実がいっぱいぶらさがっていました。私だけが思うのか、今年は、どの樹木も昨年より早く、そして多くの実をつけているような気がしました。ブナ、ノグルミ、オニグルミも実をつけていました。特にブナは、何年かに1度しか実をつけないそうです。高木なので見にくいですが、上の方に実がついているのを確認できました。残念ながら下には落ちていませんでした。10月には落ちているのを期待して探そうと思いました。「ブナは、5年から7年に1回の割合で大量に実を落とす。それによって森の生き物の数が増えるのだが、そのあと極端に不作の年が続く。そうやって森の生き物の数をコントロールしている。」とのことです。

華咲チームs
華﨑チ-ム/ブナの実を探す
 オニグルミの実は下に落ちていたので観察することができました。クルミの実は重たそうに見えるのですが意外と軽いです。山地の沢や川辺に自生して実が川に落ち、浮き、流されて散布するためです。ヒヨドリバナ、フジバカマもかわいい花を咲かせていました。フジバカマの葉は三裂するが、ヒヨドリバナの葉は裂けないのが特徴です。タイワンホトトギスも少し花をつけていました。ホトトギスとの違いは花の付き方です。あとで生態園に咲いているホトトギスと見比べます。

 次は生態園の中へ。入口付近では、ひっつき虫でお馴染みのアレチヌスビトハギが、かわいい濃いピンクの花を咲かせていました。もう少し中へ進むとアブラチャンが大きな実をぶら下げていました。花は小さいのに実は大きい。まっすぐに進むとオトコエシ、オミナエシの花も咲いていました。背が高くて男らしいのがオトコエシ、それに比べて楚々と女らしいのがオミナエシ(ジェンダーレスの現在では、こういう名前はつかなかっただろなあ)。カンコノキもカボチャみたいな実をつけていました。花は小さくて目立ちません。ハナホソガとの共生の話、またきれいな青紫色の花を咲かせているカリガネソウの虫を介しての受粉の仕方の話がおもしろかったです。
 池の近くでは、タヌキマメが紫色のきれいな花を咲かせていました。一日花です。昨年は花を見ることできなかったので今回見ることができてよかったです。実がたくさんできており、茶色の毛に覆われ、本当に狸の毛みたいでした。昨年は、こんなにたくさんの実はなかったように思いました。ツクバネの果実も、羽子板の羽根のようにぶら下がっていました。ガマズミの実もきれいでした。ハナナツメもカップラーメンのような実をつけていました。フジカンゾウもピンクの花が咲き、サングラスのような実をつけていました。ひっつき虫なので、引っ付かないように離れて通過しました。ホトトギスの花が咲いていました。ホトトギスは、葉の付け根に花を上向きにつけますが、先程のワイルドガーデンのタイワンホトトギスは、茎先に花をつけます。コンテリクラマゴケが日に照らされて青く光ってきれいでした。

讃良チームs
讃良チーム/シナアブラギリの説明

 讃良さんチームは、東屋で水分補給休憩をしておられました。来春、「牧野富太郎」をモデルにした朝ドラが始まる話をしておられました。是非とも朝ドラ観てみたいと思います。
 東屋の前のハゼノキを観察し、ヤマハゼと違いの説明があり、フユザンショウ、コブシ、ヤブムラサキ、ムラサキシキブ等の観察もしました。池の付近では、冬に枯れた茶色の茎に霜柱ができることで知られているシモバシラが、片側だけにズラッと白い小さな花を咲かせていました。冬の姿からは想像できないほどきれいな花でした。そして本日のお目当ては葉がビワに似るハマビワの可憐な花と実、観察の締めくくりはマツムラソウ多数の黄色い花を一方方向につけてました。

 今月の研修会は、花も実もたくさん観察することができました。実習生の方も「密度の濃い勉強ができた。」と最後に感想を述べられていました。暑い中、わかりやすく丁寧に説明していただいたリーダーの讃良さん、華崎さん、ありがとうございました。   (文/A.N.)

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