京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

2021年10月

例会 10月28日(木)「京都・小川通り茶の湯の街並みを訪ねる」の報告

 さわやかな秋空のもと、松浦さんの案内で京都・小川通りの茶の湯の街並みを散策しました。参加者は会員34名と一般参加1名の計35名。地下鉄北大路駅を出発し、まず紫式部の墓所へ。入口には植栽されたコムラサキは紫色の実をたわわに付けていました。敷地内には小野篁(たかむら)の墓石もありますが、2人の墓がなぜ同じ場所にあるのかは謎とのこと。裏千家淡交社の茶道研修会館では茶道具などを見学。近くの水火天満宮は水難火除けの守護神として、菅原道真の神霊を勧請して建立された日本最初の天満宮。ここで天満宮と天神の違いや天神と牛の関わりについて解説がありました。

 京都市の水にまつわる話。地下には琵琶湖の8割もの量の水が蓄えられていることには驚きです。生活水には困らないが、問題は下水の整備。桓武天皇は平安京造営の際に12本の下水のための堀を掘らせましたが、そのうちの1本が堀川。現在の堀川は琵琶湖疎水が暗渠で引き入れられ、一部の区間のみ地上を流れています。

 妙覚寺は1378年に日蓮宗の日実によって四条大宮に創建されましたが、足利義尚の命で二条に移転しました。美濃国の斎藤道三と関わりが深く、信長はこの寺を入洛時の定宿にしていましたが、本能寺の変の後は、秀吉によって現在の地に移設されたとのこと。広い境内と大きな本堂が印象的でした。

 いよいよ小川通りの散策です。昔、小川(こかわ)という川が流れていましたが、今は埋め立てられて存在しません。通りに面した本法寺も日蓮宗の寺院で、本阿弥家の菩提寺にもなっています。本阿弥光悦作の庭園「三巴の庭」や長谷川等伯の仏涅槃図などの寺宝も多いので、今度ゆっくり訪れて見てみたいです。小川通り沿いには裏千家学園のほか裏千家今日庵、表千家不審庵の屋敷の門があります。裏千家という名称は、江戸時代までは門が小川通りになかったので、表千家の屋敷の裏を回って行かなければならなかったことから付いたとのこと。あたり一帯には茶道具など茶道に係わる店が点在し、茶の湯の街と言われるのも納得です。

 妙顕寺は、鎌倉時代後期に洛中に建立された日蓮宗最初の寺院。聚楽第の前の秀吉の居城「二条第・妙顕寺城」を建造するためにこの地に移設されたとのこと。

 昼食の後、表千家、裏千家に次ぐ三千家の一つの武者小路千家の場所を確認。慶長天主堂跡では、秀吉や家康がキリシタンを弾圧した理由の説明がありました。その後、木々に囲まれたきれいな水の流れる堀川沿いの遊歩道を歩き、一条戻り橋のたもとで休憩。その後、安倍晴明を祀る晴明神社へ。昔、利休の屋敷があり、利休はここで自刃したとのこと。 14時過ぎに散策は終了。希望者は老舗の鶴屋吉信本店で和菓子と抹茶をいただき、疲れを癒しました。今日は松浦さんのわかりやすい説明で京都の新しい発見ができた一日でした。 (文/讃良)

2021-10-28小川通り茶の湯の街並み-2
2021年10月28日(木)10:00~14:15

研修会 10月18日(月)「季節の植物観察」の報告 / 「秋空の下、新人講師3名が初舞台」

 10月に入っても暑い日が続いていたのですが、急にこの秋一番の冷え込んだ朝になりました。自粛解除で京都植物園もようやく再園になりましたので、会員38名、実習生1名、一般参加者1名と多くの方が参加されました。本日の講師も担当される讃良会長の挨拶の中で、今日からデビューされる3人の講師の海老原さん、高橋さん、中林さんを紹介されてから4班に分かれてスタートしました。

 まず見頃を迎えた「コスモス」を優しい口調で話しだされた中林さんです。キク科の花の構造や山口百恵さんの「秋桜」の歌を思い出すという話をされていました。「シナノキ」、「ヘラノキ」、「ボダイジュ」のそれぞれの特色を丁寧に、また植物に対する思いなどにも触れて話しておられたのが印象的でした。このグループの中に昆虫に詳しい方がおられ、ハチに擬態しているとされる「ホシホウジャク」がたまたまホバリングして蜜を吸って回っているのを見つけて説明してくださいました。このようにその場所で、いろいろの人の話が聞けるのがこの研修会の本来のありかただと思いました。

 薬用に用いられる「キハダ」の所では高橋さんが吉野で買ってこられた「陀羅尼助」のお薬を皆さんに見せて、はきはきと熱い口調で語っていました。樹皮をめくると鮮やかな黄色が出てくるというのを写真で示されると、このグループの参加者は深い知識をお持ちの方が多いようで、木の皮を使って染色をするという話や、「シナアブラギリ」では塗料や印刷などの工業目的に使われるのも、これから番傘などを作ったという話も聞けました。ウコギ科の「ウド」の所では「うどの大木」と言うことわざがあるが草本だという事で、育ちすぎると食用にも木材にもならないで役に立たないという例えに使われるという説明をされると、別の方から「ウロの大木」だという説で、大木の幹が腐って空洞になっているから材木として役に立たないと言う話をお聞きすることが出来ました。

 落ち着いた雰囲気の海老原さんは、花後に毛だらけのガクが大きくなった「タヌキマメ」の落ちていた果実の中を見せてわかりやすく説明されていました。「ツクバネ」は下向きにぶら下がっていましたが、これも落ちていたのを拾って飛ばしてみると信じられないほど高速回転して舞い降りました。皆でお正月の羽根つきの羽根にそっくり!と楽しみました。

 今回は、新しく研修会のリーダーを担当された3人の方を紹介させていただきました。「季節の研修会」の趣旨は植物園の案内人と言う事、参加された会員の方がご存じのことや疑問に思ったことなどをいろいろと自由に気軽に話し合うと言う事です。3人の方からは周りの方にフォローしてもらえたとか、話を繋いでもらえたとかの声がありましたが、会員の方からこの声を引き出した力はとても大きかったような気がしています。 (文/大川内)

2021-10-18植物園研修会CIMG1611 (5)
2021年10月18日(月)10:00-12:30 京都府立植物園