朝晩の冷え込みがありましたが、日中は暑いぐらいのお天気に恵まれた研修会でした。講師は、ベテランの斎藤さん、岡さんです。テーマは「紅葉」で、参加者は会員29名、一般1名、合計30名参加で2班に分かれてスタートしました。また、行事再開以降の新しい試みで、班ごとに、まずは自己紹介を行いました。遠くからの人も多く、お互いを知りあって話しやすくなったようでした。

 まず、「紅葉は、今日みたいな青空、太陽の光を受けて下から見ると、全然違う。」そして、「紅葉を『遠景』で見てみてください。」とのことで、ワイルドガーデンから北の方を向いて東から西へと紅葉を眺めてみました。すると、どうでしょう。ラクウショウ、メタセコイヤ、ケヤキ、エノキ、トウカエデ、ハナノキと茶色、黄色、赤色(所々緑色)と色づき、樹形もよくわかり、素晴らしい景色が目の前に広がりました。観察では、ルーペで細かいところをよく観ること多いですが、遠くから眺め、樹木の全体像をみることも大事なことだとわかりました。

 そして、まだまだ見頃のコスモスのところでは、最近コスモスに似ているオオキンケイギク、オオハンゴンソウが川辺等にきれいに咲いているが、特定外来生物なので、駆除をしている話がありました。きれいな花と思って、持ちかえり、庭等に植えるときには、特定外来生物かどうかの注意をしないといけないと思いました。また、珍しいキツネノテブクロ、キバナツノゴマ等、いつもあまり見ない花も観察しました。

 次に、先ほど遠景で確認した紅葉を観に行きました。トウカエデの葉っぱを観察しているときに、キイロテントウがいました。大きさ5㎜ほどの小さなテントウムシです。昆虫にも詳しい岡さんからは、キイロテントウは、「うどん粉病の菌」を食べるとの説明がありました。菌を食べてくれるありがたい虫ですが、この虫がいるっていうことは、この植物がうどん粉病に侵されているかもしれませんね。また、木には、ヨコヅナサシガメがいました。高い木に暮らしていて、冬には集団越冬する肉食性のカメムシの仲間だそうです。キイロテントウ、ヨコヅナサシガメ初めて知りました。

 また、カラコギカエデの翼果をよく見るとコオロギや鈴虫の羽のような模様が美しくて印象的でした。カエデの種子は、プロペラを利用しての風散布であり、木によって、風、水、動物等の散布があり、わかりやすく説明がありました。

 ハナノキの紅葉の赤が鮮やかで、とてもきれいでした。紅葉で有名な真如堂のハナノキは、植物園のハナノキと同じものとの説明もありました。ハナノキは、絶滅危惧種で、長野県のみ限られた所でしか自生していない日本固有のカエデです(添付の写真をご覧下さい)。

 シラキのところで観察、説明しておられたのは、植物の知識が豊富な斎藤さん。シラキの葉は、緑、黄色、赤色と変化し、グランデーションが美しい紅葉です。植物には、段階があって、一時期にいきなり観るのではなく、いろいろと時間を追って観察しないといけない。一年を通じて観察するのが大事だということをお話されていました。黄葉がきれいなムクノキでは、実がなっていました。ムクノキの実は大変おいしいそうです。たまたま熟した実が落ちていたので、会員のおひとりが、「すっと食べてみたいと思っていた。」と、食べられた瞬間「おいしい~、今まで食べた実で一番」と感動されておられました。植物観察は、観るだけではなく、触る、嗅ぐ、味わう等のいろいろな角度からの観察することも大事ですね。

 そして、世界三大紅葉のニシキギ、ニッサボク、スズランノキ(スイバノキ)の観察、誰がこの三本の木を世界三大紅葉といわれたのかはわかりませんが、日本には、もっと美しい紅葉があるように思えます。今回は、フウ、ハナノキ、シラキが、私の三大紅葉でした。(これは、あくまでも私の考えです。)

 斎藤さんは、みなさんに「これは、どう思う?」等の質問し、みなさんが、いろいろ意見を出し合い、和気あいあいでいい雰囲気の研修会を楽しんでおられました。

 紅葉の下で、空を見上げると、青空、太陽の光を受けた紅葉、とってもきれいでした。
斎藤さん、岡さん、楽しい研修会ありがとうございました。 (文/A.N.)

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2021年11月18日(木)10:00-      京都府立植物園