朝方は冷え込みましたが、研修会が始まる頃には陽が差し込んで暖かくなってきました。参加者は会員26名、一般1名、講座生4名(計31名)で、その中には「講座で受けた冬芽観察で興味を持ちました」と言う挨拶もありました。講師の齊藤さんが、「京都植物園の樹木も多くがこの時期は落葉しているのできれいに見渡せますよ。」と言われるように100周年の文字に植栽されたハボタンと寒咲きハナナのすっきりしたワイルドガーデンの中を歩き出しました。
ひと月ほど前には、黄色く色づいたハート形の葉がまだ付いて香ばしい香りがしていたカツラ。頂芽を見ると対生した2個の円錐形をした冬芽が見られます。何度お聞きしても難しい「仮頂芽」の言葉は覚えましょうと言う事です。種を飛ばし終えた小さなバナナ型の殻が残っていたので割ってみると、先端に翼のある種子が入っていました。バイカウツギも対生で仮頂芽をつける例です。葉痕の中に冬芽が入っている隠芽で、葉痕が膨れ上がっていることがわかります。観察時は少し割れて緑が見えました。トサミズキの細長い葉芽と丸い形の花芽の違い、オニグルミは葉痕がユニークな表情で皆さんにも人気なようで「羊に見える!可愛い!」と言う声が聞かれました。この羊の顔に見える葉痕は、枝に残る葉がついていた痕のことです。目鼻などの表情に見えるものはその中の維管束の痕です。冬芽は裸芽タイプの様で、外側の葉は冬の寒さから冬芽を守るような帽子に見えました。
そこから冬芽の見方で特徴を整理しながら進んで行きました。
シナユリノキなどのモクレン科の頂芽は大きくてアヒルのクチバシのようで、この芽鱗は托葉が変化したもので、托葉痕は枝を一周するのも特徴だそうです。シラキは、とんがり帽子をかぶった可愛い小人のように見えました。
途中で名前は不明ですが、岡本さんが見つけたキノコの説明をしてくださいました。キノコと言えば秋と言う訳でもなくて、4月の「春の御三家」と呼ばれる①ツバキキンカクチャワンタケ②オオセミタケ③トガリアミガサタケは春を告げるキノコだそうです。
齋藤さんの深い知識と解りやすい説明でとても充実した観察会となりました。寒い中を参加された今日の会員や実習生もとても熱心でした。最後までルーペでのぞき込んだり、冬芽に触れたり、興味を持たれていました。まだ春は遠いかもしれませんが、今日の冬芽がどんな花を咲かすのか待ち遠しいですね。 (文/大)