京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

研修会 4月21日(木)「季節の植物観察」の報告

 出席者23名、午前中は曇り、午後は雨。リーダーは岡さん、斎藤さん。色とりどりの花や艶やかなボタンやシャクナゲの花が咲く春爛漫の時期であるが、今回は目立たない花や見過ごしてしまうような草木の様子にも焦点を当て観察した。私は齊藤さんグループに参加。

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齊藤さんグループ
 青葉が繁る中、初夏の日射しに映えるように白い花を咲かすのは、シナアブラキリ、ハクサンボク、ホウチャクソウ、ガマズミ、セイヨウバクチノキ、などなど、小さい花を沢山まとまって咲かす戦術か?  大きく見える。
 黄緑色の小さい目立たない花も 多くあった。
 モチノキ科の花も目立たないが、蜜を舐めに来る虫あり。ツリバナは、今年沢山の花を咲かせ見事であった。
 オトコヨウゾメは、ピンクの可憐な花を咲かすが、果実が小さく苦いので、オトコの名が付いたそうだ。
 ヤマコウバシ(山香ばし)は、両性花か?ルーペの世界。 (単為生殖する植物)
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                   岡さんグループ
 ハナイカダは、葉の上に花を乗せる事で  アリも誘う事に成功。
 オオバベニカシワは、葉の色がサーモンピンクから緑、秋には薄紅色へと変わる。雌雄同株でヒトデ状のオバナ、赤い糸状のメバナ。
 ナベワリは、葉を舐めると舌が破れる? 毒の強い草。花は黄緑色。下を向き日影にひっそり咲いていた。
 カワセミソウは、花の根元がカワセミの口に似ているそうで、サギゴケのようにランナーを伸ばし、痩せた土でも増えていくとの事。
 シリアゲムシは、肉食性、オスの腹の端がサソリのようにそり上がり忘れられない虫であった。 (文/新堀)
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                               (写真はクリックで少し大きく表示されます)

例会 4月12日(火)「新緑の京都洛西・タケノコの里を歩く」の報告

 昨年、一昨年と中止となった洛西・タケノコの里へのリベンジ。晴れ渡った季節先取りの暑い中、総勢36名は、阪急洛西口駅を出発、先ずは物集女(もずめ)城跡へ。物集女は、京都府向日市にあり歴史的には、山城国乙訓郡物集女荘であったが、近隣町村との合併にて向日市の一部となった。この近辺には乙訓古墳群も多く、今回は、古墳見学と竹林(タケノコ畑)を中心とした行程を歩く。物集女城跡は土豪の物集女氏の居城跡で、今は民家の敷地内にあり小さな立札(説明書)を読んでの見学となる。

 次に、乙訓古墳群の1つ物集女車塚古墳を訪問、全長46m、後円部の高さ9mの小さな前方後円墳で6世紀中頃の古墳。

物集女車塚古墳
                   物集女車塚古墳

 その後、竹林を両側に見ながら風情を楽しみ歩く、その途中にある竹林公園にて早めの昼食。この時期にはタケノコ堀りの最盛期。タケノコ堀りは、専用の鍬にて丁寧に堀り、近郊の小屋やスーパーにて「朝堀り筍」として店頭に並ぶ。京都市洛西竹林公園では、珍しいキッコウチクやキンメイモウソウ,クロチクなど約110種の竹や笹を主体とした回遊式庭園と竹の資料館の他、応仁の乱にまつわる百々橋(どどばし)や旧二条城の石垣に使った石仏群を観る事が出来た。竹林道にある「竹林の径」には、8種類の竹垣がその雰囲気を楽しませてくれた。

竹林の道
                      竹林の径
 風情を楽しみながら、寺戸大塚古墳を観て桓武天皇・皇后御陵に立ち寄り五塚原古墳近くの池の畔で小休止、その後、向日市文化資料館へ。向日市文化資料館は、長岡京に関する展示が中心で、わずか10年間の長岡京時代であったが、役人の仕事や食事の復元など遠い昔に思いを寄せ楽しく見学することが出来た。

 暑い中での散策でもあり皆さんお疲れ気味。ご家族へのお土産、地元では有名な「神崎屋」での筍購入で元気回復。最後に長岡京跡のある朝堂院跡・朝堂院公園に立ち寄り阪急西向日駅へ歩行時間約160分を皆さん元気に達成し15時に解散、タケノコで膨らんだリュックを背負い帰途につく。お疲れ様でした。 (文/澤田勉)


4月~6月の行事予定

例会 4月12日(火)新緑の京都洛西・タケノコの里を歩く
   阪急洛西口駅に10:00集合、天気予報Tel: 075-177★
   要昼食持参、15:00頃現地解散予定  担当:讃良憲一、澤田勉
研修会 4月21日(木)「季節の植物観察」
   京都府立植物園北山門前に10:00集合(雨天決行)、ルーペ持参のこと
   12:30頃現地解散予定、以後自由観察 担当:斎藤ちづみ、岡かおる
例会 5月10日(火)湖西マキノ町・新緑のメタセコイヤ並木を歩く
   湖西線マキノ駅に10:55集合(11:00発バス乗車)、天気予報Tel: 0740-177★
   要昼食持参、15:30頃現地解散予定  担当:讃良憲一、吉田久斗
よもやま話 5月16日(月)「風呂敷の中の自然観察」
   ひとまち交流館3階第4会議室10:30開始(12:00終了予定)
   担当:岡かおる (68~100、50cm四方の風呂敷2枚持参、1枚でも可)
総会 5月23日(月)
   ひとまち交流館3階第5会議室 10:30開始(受付10:00~)室内昼食可
   担当:讃良憲一、赤對一雄 (会員限定)
公開講座 5月23日(月)「米の日本史」
   京都府立大学 和食文化センター 特任教授  佐藤洋一郎先生
   ひとまち交流館3階第5会議室 13:30開始(受付13:00~)
   担当:赤對一雄 (定員制・事前にSMSで申込要)
研修会 5月31日(火)「季節の植物観察」
   京都府立植物園北山門前に10:00集合(雨天決行)、ルーペ持参のこと
   12:30頃現地解散予定、以後自由観察
   担当:中林明美、海老原緑、高橋弥生
例会 6月7日(火)西山古道を歩く(善峯寺からあじさいの楊谷寺へ)
   JR向日町9:35発、阪急東向日町9:40発善峯寺行バスに各自乗車
   天気予報Tel: 075-177★、要昼食持参、15:30頃現地解散予定
   担当:澤田勉、大川内美恵子
研修会 6月21日(火)「季節の植物観察」
   京都府立植物園北山門前に10:00集合(雨天決行)、ルーペ持参のこと
   12:30頃現地解散予定、以後自由観察 担当:澤田章夫、大川内美恵子

★雨天決行以外の屋外行事について、前日17時の気象庁の天気予報で、
 該当地域の行事当日の午前中の降水確率が60%以上の場合、中止です。
 詳しくは当クラブの概要紹介を参照願います。


例会 3月30日(水)「第9回琵琶湖ウォーク(今津からマキノへ)」の報告

 晴れ渡った穏やかな春の日に今津からマキノまでの約10kmのウォーキングに参加した。2016年の第1回目に始まり、今回の第9回目をもってびわ湖ウォークは終了とのこと。参加者は会員19名に加えて、シニア自然大学校・地域貢献活動部門の浜田理事の計20名。

 9時40分に近江今津駅前に集合。ガイドの平井さんがコースを説明された後、10時前に出発し、今津の街を散策。まず訪れたのは琵琶湖周航の歌資料館。この歌は旧制3高ボート部が琵琶湖を周航した際、部員の小口太郎が2日目の今津の宿でクルーに歌詞を披露し、部員たちが当時学生の間で流行っていた吉田千秋の「ヒツジグサ」の曲に乗せて歌ったのが始まり。その後、今津港に出て琵琶湖周航の歌の記念碑を見学。波もなく穏やかな湖面の先には竹生島が霞んで見えた。

 しばらく湖岸道路を歩くと代官屋敷跡の看板がある。江戸時代の今津村は金沢藩近江領として前田家の支配を受けていた。湖畔には石垣が突き出ていて船が発着した跡が残っている。九里半街道の表示板の説明を受けた後、ヴォ―リズ通りを歩く。ウィリアム・メレル・ヴォ―リズは明治時代にキリスト教伝道師として米国から来日し、建築設計技術を生かして数多くの洋風建築物を手がけた。この通りには今津ヴォ―リズ資料館(旧百三十三銀行で現在の滋賀銀行)、今津基督教会館、今津郵便局などが残っている。郵便局の外観は和風建築だが窓の高さが異なる部屋がある。高いのは洋室、低いのは和室とのこと。

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                   ヴォ―リズ資料館
 10時50分頃に出発し、湖岸を歩いたり湖岸道路を歩いたりしながら前進する。桜の花は残念ながらつぼみであったが、コースの各所で満開の日本水仙を楽しめた。今津浜あたりは歩道沿いに松並木が続き日本の白砂青松百選となっている。このあたりの松はどれも幹が太くて背が高いがいつ頃植えられたのだろうか。12時頃、湖畔で昼食タイム。打ち寄せる波の音が心地よく陽光を浴びると暑いくらい。遠くに竹生島がくっきりと見える。静かな湖面にはカモなどの鳥たちが漂って気持ち良さそう。

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                  湖畔の風景 (写真はクリックで少し大きく表示されます)
 昼食後はゴールに向かってひたすら歩く。左手に見える残雪の山々が美しく、北へやって来たことを実感する。道路ぎわには別荘らしき建物が立ち並んでいるが、どんな人が利用しているのだろうか。13時55分頃に全員ゴールのマキノ・サンビーチ(湖のテラス)に到着。湖岸からは桜の名所の海津大崎が近くに見える。今日は天気に恵まれた気持ちの良いウォーキングを楽しめました。 (文/讃良)

 

研修会 2022年3月24日(木)「季節の植物観察」の報告

 昨日の雨も止み、本日は晴れ爽やかな気候となりました。「京とおうみ自然文化クラブ」のホームグランドである京都府立植物園での季節の植物観察はコロナ感染の影響で2月は中止、よって2か月ぶりの実施となりました。本日の講師は新堀さん、大川内さん、高橋さんにお願いいたしました。参加者は会員25名、ゲスト2名で計27名です。

 まずは参加者全員の簡単な自己紹介から、皆さん和やかな笑顔で挨拶いただきました。そして観察のスタ-トはサクラ「桜品種見本園」でイギリス生まれのオカメの説明を受ける。イギリスの桜研究家であるチェリ-・イングラムゆかりのサクラでカンヒザクラとマメザクラの交配種で淡い紅色。オカメの由来は諸説ありますが日本の美人をイメ-ジし古くから福を呼ぶ顔から又イギリスではオカメは美人の象徴だということから等。

アキヒメザクラ

 続いてナノハナは今が満開、チョウと青虫のかかわりについての説明を受ける。ムラサキハナナも満開、別名ショカツサイで諸葛孔明が広げたと言われている。そしてミツマタの雄しべの観察、雄しべは長短が2段でムシを確実にキャッチする仕掛けになっている。ハチジョウキブシは名前の通り八丈島原産、雌しべの花柱は膨らむ、雄しべは退化しており花粉を出せない。観察とそれるが八丈島は東京都、車のナンバ-は品川。ゲンカイツツジこれも名前の通り玄界灘を囲むように分布する、ツツジの仲間では最も早く開花する、雄しべの配置はアゲハチョウに合わしているとの事。クマザサのクマは歌舞伎の隈取からの命名、春の新葉は緑一色だが越冬葉は周囲が枯れる。
 尚今年は例年より開花が1週間ほど遅いのでは?この時期「スプリング・エフェメラル」も観察出来た。ユキワリイチゲ、ニリンソウ、セツブンソウには種がつく。そしてツノハシバミはイソギンチャクのような雌花序と垂れ下がる雄花序をしっかり観察できた。ショウジョウバカマもスプリング・エフェメラル(春の妖精)で葉はロゼット状に広がり葉の先に出来る不定芽により殖える。バイモも各所で観察できた、薬用になる鱗茎部分が肥大し丸くなるので「貝母」の名がある。フキはこの時期は花をつけている雌雄異株であり雄花は黄色味かかった白色、雌花は白っぽいと言われているが判別できず。

ミツマタ他s

 観察の締めくくりはやっぱりサクラ、オカメで説明のチェリ-・イングラムは「日本の桜を救ったイギリス人」と言われている。自宅に多くのサクラを栽培しており、日本で消滅したサクラのタイハク(太白)は自宅より何度も日本に送りだしたが5年目でやっと枯れずに育った、なんとジャガイモに刺してシベリヤ経由での持ち込んだという。尚日本での栽培者は「桜守」で有名な佐野藤右衛門との事。何とも歴史のある話でした感服。

カンヒザクラを前に

 観察は予定通り12時30分に終了、春の華やかな植物観察を堪能できたのではないかと思います。 (文/澤田章夫)