京とおうみ自然文化クラブ

「京(みやこ)とおうみ自然文化クラブ」は、認定NPO法人シニア自然大学校の京都府・滋賀県の地方組織です。旧ブログは左下リンク集より閲覧できます。

例会 1月30日(木)「秦氏ゆかりの地を巡る」の報告

 京都の太秦を起点に嵐山までの歴史散策です。時折雪が舞う薄曇りの寒い天気にもかかわらず、会員49名、一般参加2名の計51名の方が参加されました。案内は歴史に詳しい山下さん。地下鉄太秦天神川駅を地上に上がった広場に集合し、ここで山下さんから、太秦の名の由来について説明がありました。
 機織の技術集団であった渡来人の秦氏はヤマト王権へ絹や布を献上し、それらをうず高く積み上げていたことから、「兎豆満佐(うずまさ)」という姓を賜わった。そこから、拠点を表す「太」という漢字を当てはめ、「秦氏の拠点」を表す「太秦」になったとの説があるようです。このあと10時10分頃に出発。
① 木嶋坐天照御魂(このしまにますあまてるみたま)神社
 難しくて読めません。通称は木嶋(このしま)神社。推古天皇12年(604年)に広隆寺創建に伴い勧請されたともいわれています。本殿の右にある社殿は養蚕(こかい)神社、別名は蚕の社(かいこのやしろ)。この名の由来は、秦氏が養蚕と織物の神を祀ったのが始まりと伝えられています。「蚕の社」の由来がやっと分かりました。ここで山下さんから、社殿の屋根に直角に設置されている鰹木(かつおぎ)の本数から、この神 社が男性の神か女性の神かを見分ける方法を学びました。鰹木の本数が奇数ならば男性の神、偶数ならば女性の神です。
 本殿の西に建てられているのは京都三珍鳥居の一つの三柱鳥居(みはしらとりい)。三つの鳥居を正三角形に組み合わせた形で、中央の組石は神坐で、以前は三方向から拝めるようになっていたようです。鳥居の前にある池が元糺の池で、現在は枯渇しています。
② 大酒(おおさけ)神社
 祭神は秦の始皇帝、弓月君(ゆづきのきみ)、秦酒公(はたのさけきみ)。大酒神社は元来、広隆寺の桂宮院の境内に鎮守の社として祀られていましたが、明治元年の神仏分離令により現在の位置へ移転しました。八角柱の鳥居がユニークです。
③ 広隆寺  
 広隆寺では団体での見学はできないため、集合時間を決めての個別見学となりました。暗い講堂の奥に金網越しに阿弥陀如来坐像を見ることができました。広隆寺の現在のご本尊は聖徳太子ですが、603年に秦河勝が聖徳太子から賜った仏像をご本尊として建立した京都最古の寺です。その本尊が国宝指定第1号の弥勒菩薩像で、霊宝殿に収められています。霊宝殿には国宝20点、重文48点が収められており壮観です。有料ですが拝観をお勧めします。なお、国宝第1号の謂われは、指定当時、地図上で一番北にあって、南に行く毎に2号、3号となったためだそうです。
④ いさら井                                                      
 広隆寺の境内を出てしばらく歩くと、民家のそばに使われていない古びた井戸があります。元々は広隆寺の境内にありましたが、敷地の縮小により現在の場所に残りました。この井戸をいさら井と呼んでいますが、「いさら」とは古語で「少ない」という意味なので「いさら井」とは「水の量が少ない井戸」ということになります。一方で、いさら井はイスラエルがなまったものと捉え、日本人とユダヤ人とは祖先が同じではないかという日ユ同祖論という説もあるようです。   
 少し歩き、大映通り商店街を少し入った所にある三吉(さんきち)稲荷神社(通称、映画神社)に立ち寄ったあと各自での昼食タイムとなりました。
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⑤ 蛇塚古墳
 蛇塚の名称は、かつて石室内に蛇が多く棲息していたことに由来するそうです。京都府下最大で、全国的にも有数の規模を誇る横穴式石室をもつ前方後円墳ですが、住宅地の中にポツンと存在します。秦氏一族の族長クラスの墓といわれ、古墳時代後期の6世紀末から7世紀初頭に築造されたと考えられています、現在は、墳丘封土は失われ、露出した石室のみが残ります。石室の大きさは全国で4番目とのこと。
⑥ 車折(くるまざき)神社
 この神社の名前は、後嵯峨天皇が嵐山に遊行した際、社前で牛車の轅(ながえ)が折れ、動かなくなったことから、門前右側の石を「車折石」(くるまざきいし)と呼んで、「正一位車折大明神」の神号を贈られたことに由来します。そのため当社では「石」に対する信仰が厚く、神主がお祓いをした石が入ったお守り「祈念神石」は願い事を叶えるパワーストーン」として知られています。境内には、芸能の神様「アメノウズメノミコト」を祀った芸能神社があります。毎年多くの芸能人やアーティストがこの神社へ参拝し、芸名や劇団などの団体名を記した朱塗りの玉垣が多数奉納されており、華やかで目を奪われました。
⑦ 葛野大堰(かどのおおい)                                                        
 車折神社から20分ほど歩くと大堰川の河畔に出ました。遠くに嵐山の渡月橋が見えますが、河畔の冷たい風に当たり寒さは倍増です。観光客で混み合う渡月橋を渡り、右折して中之島の先端に行くと「一ノ井堰」と彫られた石碑があります。桂川は渡月橋付近で大堰(おおい)川と呼ばれていますが、これは5世紀後半に秦氏が葛野(かどの)地方に移り住み、渡月橋の付近で桂川の中に大きな堰を築いたためです。この堰が葛野大堰です。この堰で水をせき止めて水量を調節し、洪水を防ぐと同時に水路を設け農業用水を確保することができました。これにより嵯峨野や桂川右岸で農耕ができるようになりました。現在、秦氏が造った葛野大堰を原型に「一の井堰」が渡月橋上流に造られています。                    
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 ここで終礼が行われ14時40分頃に解散となりました。本日は太秦の由来や秦氏の功績などを知る良い機会でした。案内していただいた山下さん、ありがとうございました。   (文/讃良)

研修会 1月27日(月)「季節の植物観察/冬芽の観察」の報告

 参加者:21名、天気:曇り時々晴れ。この時期京都は寒いのですが、当日は風がなく曇り空でも凍える感じがありませんでした。齊藤ちづみさんの案内で冬芽の観察をしました。
 まず、冬芽の所に行き、齊藤さんの話を聞き、あとは皆ルーペを持って顔を冬芽に近づけて観察です。ぼーっと見ていると気づけないことだったり、拡大して見ると齊藤さんの話が納得できたり、静かな中で観察会は進みます。みんなが見終わる頃まで齊藤さんは脇に立って見守り、時々質問に答えたり追加の説明をしてくださったりしています。

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 では、冬芽の紹介をしていきます。全部お伝えすると長くなるので半分くらいに端折ります。
 ①    クマノミズキ 赤くなった枝の先につく冬芽(頂芽)は筆ペンの先にそっくり。
 ②    バイカウツギ 隠芽(葉痕の中に隠れている冬芽) 葉痕は三角形で白く、そこが割れてぷくっとふくらんで隠芽なのに顔を出しているのが1個ありました。
 ③    オニグルミ 頂芽は大きく裸芽で円錐形。褐色の短い毛が密生しています。葉痕が羊の顔に似ていて私には冠を付けた観音様の頭部に見えます。植物園のいい所は成木だと高過ぎて観察できないのですが、若木がその横にあることです。
 ④    ヤマモミジ イロハモミジ オオモミジ 枝先に水滴型の赤くてつやのある2個の冬芽が並んでいます。膜質鱗芽ってわかりますか。冬芽が毛糸のパンツをはいていると教えてもらってああこれのことかと納得。
 ⑤    ミツマタ 銀色の毛に包まれたたくさんの花芽と葉芽が別々に出ています。

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 ⑥    ジャケツイバラ とげの間に冬芽。目を凝らしてみていくとポツポツと見つかります。
 ⑦    アブラチャン シロモジ 枝先に2個の柄のついた丸い花芽とその真ん中に先のとがった葉芽があります。グリコの看板のポーズのようです。(古いなー)
 ⑧    コクサギ 三大美芽の一つ。赤い芽鱗の縁が白くきれいです。
 ⑨    ハクウンボク 長卵形で裸芽。その下部に予備芽を付けている。ぴったっとくっついている様子は子どもをおんぶしているようです。
 ⑩    タラノキ 太いトゲの目立つ枝の先に冬芽。山菜のタラの芽はこれが展開したものですね。
 ⑪    シラキ 芽鱗2枚、葉痕に3個の維管束痕。小人がとんがり帽子をかぶっているようです。
 ⑫    メグスリノキ モミジの仲間なのですが、頂芽が1個あって頂生側芽が左右について軟毛が密生しています。赤くてつやがあってコロンとしたモミジの冬芽とはえらい違いです。

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 気が付いたら芝生広場に来ていました。最後の講座生のあいさつで「見るものあるのかなと思っていたのですが、楽しかったです。毛糸のパンツが印象に残っています。」との声。雲が途切れて陽が射していました。
 私の説明より写真が一番わかってもらえそうです。自分も見に行きたいと思われた方はルーペと図鑑をお供にお出かけください。『冬芽ハンドブック』(文一総合出版)を多くの方が持って来られていました。『冬芽ファイル帖』(小学館)は読み物としても楽しいです。   (文/海老原)

2月~5月の行事予定

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予定表はクリックで大きく表示されます


雨天決行以外の屋外行事について、前日17時発表の気象庁の天気予報で、
 該当地域の行事当日の午前中6時~12時)の降水確率が60%以上の場合中止です。
 3/26例会「山科疎水の桜を愛でる」のみ午前午後どちらか50%以上で中止です。


2月17日(月)公開講座のご案内

 2月公開講座の案内です。

 「京とおうみ自然文化クラブ」のホームグランドである京都府立植物園には昨年、食草園エリアが設けられました。そこには「いもむし」がいて、びっくりもしますが、楽しくもあります。今回は「はっぱといもむし」のタイトルで当クラブ会員の「岡 かおる講師」に楽しいお話をしていただきます。

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 皆様の参加をお待ちしております。

2025年1月~4月の行事予定

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予定表はクリックで大きく表示されます


雨天決行以外の屋外行事について、前日17時発表の気象庁の天気予報で、
 該当地域の行事当日の午前中6時~12時)の降水確率が60%以上の場合中止です。
 3/26例会「山科疎水の桜を愛でる」のみ午前午後どちらか50%以上で中止です。

 詳しくは当クラブの概要紹介を参照願います。