参加者:28名(会員26名・一般2名)、天候:晴晴時々曇、気温:28℃
案内役:岡かおるさん・海老原緑さん。時間:10:00~12:30
朝から温度が上がって初夏になったような暑さになり、参加者の皆さんの服装も軽やかになったように感じます。朝の挨拶後、2つのグループに分かれてスタート。私は海老原さんのグループに入りました。「京都植物園でしか見られない植物を紹介したいと思っています」と、ここで長年ボランティア活動されている方ならではの思い入れのある言葉ではじまりました。
① ジャーマンアイリスはカキツバタやアヤメに比べて花が大きくて華やかで、色とりどりの花を咲かせています。花弁の付け根にはブラシのような毛があるのが特徴だそうです。
② アイスランドポピーは、ケシ科。種子が「芥子粒」と言われる意味を理解するために道端で雑草として生えているナガミヒナゲシを用意されて来られました。「種はどこから出てくるのでしょう?」疑問を投げかけられて、皆で観察。「この花の面白いのは、種子が熟すと鞘の上部の蓋が開いて茎をゆらゆらと揺らすとタネがいっぱい出てくるのです。」と言う答えに、「ものすごいメカニズム!」と感嘆し切りです。これでよく目にするオレンジ色のナガミヒナゲシが広がって増えているのがわかりました。
③ ボリジの青い星型の花は、ハーブティーや料理の飾りや砂糖漬けに利用されて食べることが出来ます。
④ アヤメの密腺のゲートにもなる模様でカキツバタやハナショブと見分けるのは図で説明してもらいました。
⑤ 食草園ではユズの葉にイモムシ(アゲハの幼虫)を発見。幼虫は4,5回脱皮した後蛹になり、蝶になるという事ですが、先だっての岡さんの講座もありイモムシもすっかりお馴染みになりました。
⑥ カラスノエンドウはどこでも生えています。赤とピンクの花もまだ綺麗に咲いていますが、緑色のマメ(実)もついています。ここでも用意してくださったのは、真っ黒のマメです。カラスノエンドウの名前の由来は、このマメは季節が進むと黒くなってカラスを連想されることからだと言う事です。これも熟して黒くなると、簡単な振動で種を遠くまで飛ばすそうで、もう黒い莢が捻じれて中の種はありません。捻じれた形も面白いですが、このタネを飛ばす仕組みもすごい!
⑦ フタバアオイは、平安時代の装束を身にまとった人々が練り歩く葵祭にアオイの葉とカツラをと組み合わせた「葵桂」と呼ばれる飾りを祭りにかかわる人達が身につけたりすると言う事ですが、何年か前の研修会日とは重なったので、京都御所から下鴨神社を経由して上賀茂神社へと向かう途中の道のり、皆で見に行ったという話も交えて話されました。
⑧ キツネアザミの花が咲いていました。この名前は花の姿がアザミに似ているが、アザミと違って葉は柔らかくトゲも無く、キツネにだまされた!ということからです。大川内が説明しました。
⑨ ヤクシマシャクナゲは、長楕円形の葉の裏側はビロード状の褐色の綿毛に覆われて葉の縁が裏側に丸まりやすいという特徴で、ホンシャクナゲは、葉の裏が灰白色で触った感じは少し毛が少ないという違いがありました。
⑩ ケイカ(瓊花)は、4月24日の「西大寺から唐招提寺を巡る」の例会に行かれた方は、白い花を楽しめたと思います。中国の高僧・鑑真和上の故郷である揚州を代表する花で、唐招提寺の開祖である鑑真とゆかりがあり、京都植物園には京都フラワーセンターから来たそうです。満開で圧倒されるくらいの迫力がありました。
⑪ コヤスノキはトベラの仲間で、ちょうど淡い黄色い花を咲かせています。なんの変哲もない植物に見えますが、じつはとても珍しい植物です。日本には兵庫県南西部から岡山県南東部にかけての山地にしか分布していないからで、牧野富太郎博士によって世界に発表されました。安産のお守りとすることもある「子安の木」だそうです。秋にどんな実をつけるのかが楽しみです。
海老原さんの優しい口調の説明とタネの飛ばし方が理解できるようにと用意されたナガミヒナゲシとカラスノエンドウがとても印象に残りました。動けない、変化しない植物に見えても、実は生きていくための工夫をしているのだと言う事がわかって、自分もしっかり生きていこうという気持ちになりました。
その他の植物:オオアブラギリ、バイカウツギ、アブラチャン、ハクウンボク、ミズキ、カワセミソウ、チョウジソウ、エゴノキ、ハナイカダ、ツクバネ、トキワマンサク
午後からは希望者でバラ園を観て回りました。案内はバラに詳しく、また今年の京都府立植物園の薔薇コンテスト2部門で優勝された徳永さんに御願い致しました。バラ園は満開で見事でした。徳永さん優勝のバラの写真をご覧ください。徳永さんから、「薔薇コンテストで優勝できたのはマンションでは雨にも会わずに綺麗に出展できたからです」とのコメントがありました。 (文/大)