★雨天決行以外の屋外行事について、前日17時発表の気象庁の天気予報で、
該当地域の行事当日の午前中の降水確率が60%以上の場合、中止です。
詳しくは当クラブの概要紹介を参照願います。
標本の種類には乾燥標本(剥製、押し葉、石ころ、骨格、昆虫、剥製など)や液浸標本などがあります。保存方法は食品と同じで、腐らせない、カビを生えさせない、虫に食われないことです。植物標本は、新聞紙にはさみ、布団乾燥機などで乾燥させるというやり方を現在も続けているとのことです。
以下は標本の利用例です。標本に名前を付けるには基準となる「タイプ(模式)標本」が必要です。タイプ標本がないのは個性がバラバラの人間だけ。ヤマトグサは日本人(牧野富太郎)が初めて命名したタイプ標本です。標本からはその生き物が生きていた時と場所が分かり、自然環境が失われる前の標本があれば再生は可能です。
また、過去の標本があれば分類の見直し(カワムツの細分化の例)が可能で、外来種と在来種の増減の状況(オンブバッタの例)や生き物体内のマイクロプラスチックや農薬の分析をすれば環境の変化が分かります。私が興味を持ったのは、多くの渡り鳥の標本を解剖すると、渡りの途中で器官(胃腸、筋肉)のサイズを変えるという事例です。これは、各地での標本の比較から分かった事です。また、あくあぴあ芥川では魚類標本から芥川に生息する魚類相がまとまったとのことです。
標本で重要なのは、いつ、だれが、どこで採集したのかといった採集情報です。これがないと単なるモノです。自然史標本は①過去、現在、未来を繋ぐタイムカプセル、②その生き物の情報が後になっても得られる、③その生き物のいた時間、場所の環境が分かる、④生物多様性を維持するための研究に必要です。
次は日本の博物館事情について。博物館の父は東京博物館や上野動物園の設立に尽力した田中芳男氏。育ての親は初代東京博物館長で博物館事業の発展と普及に尽力した棚橋源太郎氏。全国には博物館が約5400館ありますが、うち4000館は学芸員が1~3人と小規模。そこで小規模ミュージアムネットワークを2010年に発足させて小規模な博物館同士が連携する仕組みを作りました。高田先生は、小規模博物館の連携で、博物館全体の底上げに貢献したことで2023年度文化庁長官賞を受賞されました。最後に先生より、博物館資料は人類の財産だが、日本の博物館は予算、人材、収蔵スペースのすべてにおいて不足している。展示を見に行くだけではなくもっと利用して欲しい。国民が「博物館は大事」と思うことが予算増につながる、と締めくくられました。
今年一番の暑さの週になるという時期の開催になりました。参加者29名、うち実習生6名。講師は大川内さんと高橋さん。私は大川内さんのグループに参加しました。暑い時なのでいつもより30分早い12時に終了しましょうとの提案で、移動はやや急ぎ足になりました。
次は四季彩の丘のパーゴラへ。つる植物で日差しは避けられています。そこでハスの説明を聞きます。「ハスの生長」と「ハスの花の4日間」。そして當麻寺の蓮糸で織られた曼荼羅華の話も聞いて実際のハスを見に行きます。雌しべの先が黄から黒に変わっていく様子などを確かめます。パーゴラに戻ります。カラスウリの花に似たヘビウリの白いレース状の小さな花、長い緑白色の実は本当に蛇がぶら下がっているようです。そこから出ると外にはアオバナ(正式名オオボウシバナ)。友禅染の下書きに使う青花汁を作るための作物です。隣にはハブソウとエビスグサ。黄色い花が目につきます。どちらも種子を炒ったものがお茶になります。
なからぎの森を抜け、青もみじに囲まれた池のまわりを通り生態園へ。ウワバミソウ(イラクサ科)。ミズと呼ばれる山菜でふきに似た食感で美味しいそうです。カラムシ(イラクサ科)。縄文時代、これから繊維を採って着るものを作っていたそうで、実際に取り出した繊維を見せてもらいました。少しごわっとしています。次はオニグルミ。源氏物語の13帖で光源氏が明石の君に手紙を出しますが、この紙はオニグルミで染められていたとの話。植物から色々な分野に話は広がります。フシグロセンノウ、ヤマガシュウ他。
次はユリの話。この観察会に参加された方は次の三つの話は覚えて帰りましょうと大川内さんが教えて下さったのは
① 明治時代、日本の貿易輸出品の1位は生糸、2位がお茶、3位はユリの球根。
② シーボルトによってヨーロッパに紹介された日本のユリは人気が高く、ヤマユリなどから多くのユリが交配された。
③ ムカゴができるのはオニユリだけ。
曇りで蒸し暑い中、びわこ文化公園文化ゾーンで行われたキノコ観察会には会員15名、一般2名の方々が参加されました。また、会員の土佐さん、海老原さん、岡本さんと菌類研究会の木村さんに講師を引き受けていただきました。
前日の雨で土壌が湿っているので多くのキノコに会えるのではと期待していました。しかし、最初に土佐さんから「土曜日に来たときは集合場所辺りの法面一面にキノコが生えていたが、今朝見てみると日曜日と月曜日の豪雨で流されたのかなくなっている」との話があって、ちょっと残念な気持ちに。それでもキノコはまだまだ残っていると思われるので気を取り直して出発しました。
17人の目でキノコを探しながら、見つけては名前を聞き、説明を受けながら約1.4kmを2時間30分かけて歩きました。わからないキノコもありましたが、後で同定できそうなキノコを採取していきました。
皆さん熱心にキノコを探したので予定より1時間近く遅い食事となりました。食事後、東屋で採取してきたキノコの同定を行い、土佐さんからキノコについての説明を受けて終了しました。
・シロハツモドキは傘の上に落葉が乗っていたが、これは傘が開いてから柄が伸びるためだそうである。
・テングダケにはツバやツボがあるなどの特徴、イグチ科の傘の裏はヒダではなく管孔になっている、ベニダケの赤は雨で流されて特定するのは難しいなどの説明を受けた。
・真っ赤な色の小さなベニヒガサ、キノコとは思えないシロソウメンダケ、クロタケに生えるヤグラダケだがキノコを知っている人には貴重らしい。
・その他、ツチグリとツチガキ、滋賀県で見つかったミイノモミウラモドキなども見つかりました。
(文/三輪眞弘)
梅雨入りが遅れ、快晴となった高槻市の鵜殿ヨシ原に、有志ボランティア7名(讃良、赤對、海老原、永井、岸本、山本悦、坪倉)が参加して、高槻市立自然博物館の高田先生のご指導のもと、侵略的特定外来生物ナガエツルノゲイトウ駆除が行われました。当クラブ会員のほか、高槻市民のボランティアによる「ナガエツルノゲイトウバスターズ」メンバー5名に加え、高槻市農林緑政課の担当者1名も、資材運搬用の市の軽トラを運転して参加されました。
場所は新しく発見された、新名神淀川橋工事現場のNEXCO西日本工事基地の作業員詰所のプレハブ建屋周辺です。ここは、明らかに「靴底拡散」による新たな繁殖地で、2023年10月4日に除草剤を散布し、日光を遮る防草シートを敷設した場所です。全国の研究者の実験で、移行期(稲の収穫期頃、養分が葉から根に移行する時期)に除草剤散布の効果が期待されるとの事で、1%希釈ラウンドアップ剤を散布の上、防草シートを敷設したものです。
顔合わせの挨拶のあと、高田先生を始め、14名全員で一斉にシート剥がしに掛かりました。駆除の成功の期待が大いに高まっていましたが、なんと、ナガエ以外の雑草はすべて枯れ果てていましたが、ナガエだけはピンク色のもやし状に発芽していました。なるほど「侵略的」と言われるだけの生命力です。靴底に挟んだ茎の断片からは、2週間足らずで発芽することを、私の長靴で実証済みですが、高田先生の実験では、葉っぱの断片1枚からも、その主脈から発根したとの事です。経験不足の学生ボランティア等の不用意な駆除では、結果的にかえって侵略域を広げてしまうと言われる所以です。
駐車場なのでバラス混じりの堅い土でしたが、バールで根の周りを崩してスコップで掘り上げると、意外にスポンと抜けてくれました。数年物ではなく2年物なのでまだ根が浅かったようです。ごつごつした、直径3~5mm程度の根や、もやし状の芽を一袋、約4kgを駆除して1時間余りで作業を終えました。
途中、淀川橋施工のJV工事責任者も見に来られ、繁殖エリアを示すポールを残しておく事を申し出てくれました。また、作業員の方からは立入禁止のステッカーの貼り出しでご協力頂きました。今後、繁殖エリアの除草と再発芽の監視・駆除をバスターズ鵜殿班で行う予定です。
駆除終了間際に、雅楽協議会の「つる草抜き」のつる草発芽水没駆除を進める、国交省淀川環境委員会元委員の綾先生もお出でになり、皆で導水路脇のカヤネズミの巣の観察に向かいました。狙っていた巣は見つからなかったのですが新たに讃良さんが1個発見しました。高田先生によると作り掛けの巣らしいとのお話でした。カヤネズミは日本一小さな夜行性のネズミですが、人の手が巣に触れると、その匂いで、子供を殺して巣を放棄するらしいです。予定では、つる草抜きの現場も見学したかったのですが、猛烈な日差しに早々にヨシ原から撤退しました。
解散後、昨年11月1日に大量繁殖したナガエを駆除した、淀川本流から導水路にポンプアップしている吐出口周辺を高田先生とパトロールを行い、1株の再発芽を確認し駆除しました。水中での発芽は無いようですが、絶滅にはまだまだ遠いようです。
なお、シニア自然大学校では「地域組織」として、当クラブを含め6団体が、一般のサークルと分けて位置付けられています。いずれも「地域貢献」「社会貢献」を目的の一つにしており、当クラブも志津南小の学習支援や、特定外来生物の駆除などの環境保全活動は、大切な目的の一つとして続けたい活動です。 (文/赤對)